“男性の風疹”受検率が鈍く「子どもの頃にかかったような…」と思い込み 当時、公的予防接種なかった今の40~60代
対象者の半数以上が受けず
過去に公的予防接種の機会がなかった40~60代の男性を対象とする風疹の無料抗体検査事業で、長野県内の受検率が2月時点で43%にとどまっていることが、分かった。 【写真】対象者にクーポン券が配られてはいるが…
妊婦感染で赤ちゃんに障害も
風疹は妊婦が感染すると、生まれてくる赤ちゃんの目や耳、心臓に障害が出る場合がある。県内の受検率は全国平均の約3割を上回っているが、事業は来年3月末までで、県は早期受検を呼びかけている。
昔のことで記憶もあいまい
「子どもの頃にかかったような気がして、なかなか腰が上がらなくて…」。風疹の検査を受けたことがないという長野市の40代男性はこう話す。市は近く、こうした対象者に、無料期間中に検査を受けるよう促すはがきの送付を検討している。検査は県内約800カ所の医療機関で受けられる。
抗体保有率は他の世代より10~15%ほど低い
国立感染症研究所によると、風疹の公的な予防接種は1977(昭和52)年、女子中学生を対象に始まった。その後、対象者は徐々に拡大されたが、62年4月2日~79年4月1日生まれの男性は予防接種法に基づく定期接種を受ける機会がなかった。抗体保有率が約80%と他の世代より10~15%ほど低く、風疹に感染しやすいとされている。
2013年には全国で1万4344人が感染
風疹は数年おきに流行を繰り返す傾向にある。近年は2013年に全国で1万4344人が感染。この流行で難聴や心臓病などの障害が出る「先天性風疹症候群」の赤ちゃんが45人報告された。県内では13年に62人、18~19年に34人の感染が確認されており、いずれも流行の中心は30、40代だった。
来年3月まで抗体検査や予防接種を原則無料
政府は19~21年度、対象の男性に市町村を通じてクーポン券を配り、抗体検査や予防接種を原則無料とした。予防接種を受けなくても十分な免疫がある場合も少なくないため、対象者にはまず抗体検査を受けるよう勧めている。だが、新型コロナウイルス感染拡大による受診控えなどで接種率が低迷したため、無料期間を3年間延長した。
19年4月時点で、対象となる県内男性は約24万4千人。このうち、今年2月時点でクーポン券を使って検査を受けた人は約10万5千人(43%)で、予防接種を受けた人は約2万4千人(10%)だった。
対象者の半数以上が検査を受けていない状況に、県感染症対策課の担当者は「対象の男性は子どもやその家族に妊娠の可能性がある人が少なくない世代。まずは検査を受けてほしい」と話している。