「108議席」。4・10総選挙で与党「国民の力」が受け取った結果は、大韓民国の歴史で執権与党が目にしたことのない数字だ。歴代総選挙で「少数与党」のねじれ国会で与党に警告音を鳴らす時さえ、有権者は政権の国政運営能力が致命傷を負わないように、「与党120議席」レベルの安全弁を守ってきた。このため、11日「野党192議席、与党108議席」と最終集計された総選挙の結果は、政府と与党に向けた国民の怒りが臨界点に達したことを示す指標とみられる。 　慶煕大学フマニタスカレッジのキム・ユンチョル教授は同日、ハンギョレに「今回の総選挙は過去に類を見ないレベルで政権審判論の影響が大きかった総選挙」だとしたうえで、「政権の無能さと非道さを戒めなければならないという民意が表出された選挙」だと語った。実際、最近の総選挙の結果によると、第21代総選挙（2020年）では与党の「共に民主党」が180議席を獲得しており、「朴槿恵（パク・クネ）弾劾民心」が沸騰する直前に行った第20代総選挙（2016年）では与党の「セヌリ党」が民主党（123議席）に第1党の座を譲ったが、わずか1議席少ない122議席を占めた。第19代総選挙（2012年）では、「李明博（イ・ミョンバク）政権審判」の世論が高まる中で、与党セヌリ党の惨敗が予告されたが、結局152議席の圧勝を収めた。それ以前の総選挙でも与党の議席は120議席を下回ったことがない。 　野党第一党の民主党の議席が前回の総選挙（180議席）より5議席減ったため「錯視効果」が現れるが、政権2年目にこのような結果が出たのは事実上「非常事態」を意味するという指摘もある。民主党候補として今回2期目の当選を果たしたカン・フンシク議員は「コロナ禍当時、民主党に180席という圧倒的勝利を与えたのは、国民が『国家非常事態』に執権与党を後押しした結果」だとし、「今回国民が再び野党に192席を与えたのは、国民が尹錫悦（ユン・ソクヨル）政権の国政状況を再び『国家非常事態』と見ているという意味」だと分析した。 　一方、絶妙な民意は「200議席」という韓国政治の最後の砦も守った。国会議員300人のうち200人が同意すれば、国会は改憲で大統領の任期を短縮することができ、大統領弾劾訴追案を議決して憲法裁判所に送ることもできる。この2年の少数与党の局面で「黄色い封筒法」(労組法改正案)など国会が処理した法案に相次いで行使された大統領の再議要求権(拒否権)も形骸化することができる。選挙終盤に「野党圏200議席の圧勝」の見通しも示されたが、ぎりぎりで「改憲・弾劾可能線」の200議席を越えられなかった野党圏の議席数には「与野党が第22代国会で対話と交渉の政治を見せてほしい」というメッセージが込められているとみられる。 　同日、ハン・ドクス首相、イ・グァンソプ大統領秘書室長ら参謀たちが辞意を表明して退いたが、野党との関係で「質的転換」を図るなど、まず尹錫悦大統領が特段の対策を示すべきという指摘もある。2027年までの残り3年の任期中、圧倒的な「少数与党の政局」を解決しなければならないためだ。建国大学のイ・グァンフ常虚教養大学教授は、「政権2年間、政治が姿を消したが、イ・ジェミョン代表に直接会って、野党から首相を推薦してもらうなど、特段の対策を出すなら、道が開けるだろう。任期短縮や責任首相制を含む改憲案を出すのも一つの方法だ」と指摘した。 　192議席の野党圏を率いて政府をけん制すると同時に、民意に応える成果を出さなければならない175議席の共に民主党には「有能な第1野党」の役割が残された。全体議席数で見ると記録的大勝を収めたが、首都圏のあちこちで最後まで接戦を繰り広げており、釜山（プサン）では辛うじて1議席の確保に留まっただけに、「鮮明野党」に劣らず「暮らしの問題を解決する野党」も重要だと指摘されている。ザ・モアのユン・テゴン政治分析室長は、「『全国が浮動票』といわれるほど激戦地が多かったのは、民主党に尹錫悦政権の牽制する一方、きちんと国政を運営できるようにしてほしいという要求が現れたものとみられる」と語った。 オム・ジウォン、コ・ハンソル、ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )