「シンプルとは何もないことではなく洗練」「雑音への我慢も必要」 新型ホンダ・アコードのデザイン担当者を直撃インタビュー!
新型アコードのデザイナーにそのスタイリングの意図を聞いた
ホンダが3月8日に発売した11代目の新型アコードは、より伸びやかになったスタイリングがすでに各方面で話題になっているようです。 【写真】80~90年代はホンダデザインの「黄金時代」! 歴史的名車を大公開(全10枚) では、その造形の意図や狙いはどこにあるのか? 今回は、エクステリアを担当したオートモビルデザイン開発室の石井さんにあらためてお話を聞いてみました。 ■フォーマルでありながら個性的なスタイルを目指す ──では最初に。新型をデザインするに当たって先代のスタイルをどのように評価、総括したのでしょうか? 「先代は北米市場で好評でしたが、堂々として流麗な佇まいがセダンとして高い完成度をもっていたと思います。とくにAピラーを後ろに引いたスリークなキャビンによる車格感の高さや、クロームパーツ類による加飾的な質感は欧州のライバル車に肩を並べていました」。 ──それに対して新型のコンセプトは「CREATIVE BLACK TIE」としましたが、その意図はどこにありますか? 「BLACK TIE」はドレスコードとして使われている言葉ですが、そこにCREATIVEを加え、フォーマルだけど個性的なスタイルを目指しました。セダンとしての基本をしっかり押さえ、どこに出しても恥ずかしくない信頼感や大人のセンスを示したい。そこで、先代に対してはクローム類をなくすこと、ノイズを減らしたシンプルな造形にすることを考えました」。 ──パッケージ面では、先代と同じホイールベースに対し、全長を75mm延ばしました。長いオーバーハングはスタンスに悪影響を及ぼしませんか? 「延長分はフロントの歩行者保護要件に使っていますが、長いノーズはボディを低く見せることができるし、優雅さや伸びやかさも打ち出すことができます。また、オーバーハングの長さに対しては、ブラックのワイドなロアグリルによって鼻先を軽く見せているんですよ」。 ──ファストバック風のシルエットは、たとえばアウディやBMWなど欧州のライバルを意識したのでしょうか? 「というより先代を踏襲した格好ですね。ただ、今回は骨格からすべて変えることでより伸びやかさを意識しています。とくに、ボディサイドの面のピークからリヤに向けて下る流れを作ることで、リヤスポイラーを先代より低く見せることができた。セダンとしてしっかり3ボックスに見えつつ、ぎりぎりファストバックでもあるんですね」。