【漫画家に聞く】クールな美少女生徒会長が実はめちゃくちゃダサい! 機転で支える副会長目線のラブコメが大バズり
人が不意に見せる「ギャップ」に胸を打ち抜かれた経験がある人は少なくないだろう。12月18日にXに投稿され、現在までに2.4万に及ぶ「いいね」を獲得している創作漫画『クールでパーフェクトな生徒会長がめちゃくちゃダサイと唯一気付いている俺の話』は、そんなギャップに胸の高鳴りが止まらない学園ラブコメだ。 バズを起こしている『クールでパーフェクトな生徒会長がめちゃくちゃダサイと唯一気付いている俺の話』 常に冷静、ときに冷酷。一片の隙もない、機械的な動作。生徒たちは彼女を恐れ、憧れたーーそんな“鋼鉄の生徒会長”には、副会長の「俺」だけが知っている秘密があった。その実態は、学校一のあがり症でドジばかりの天然少女。「俺」の機転でこれまでは完璧な生徒会長を演じてきたが、部活の予算編成を決める重要な会議に、スカートを裏返しのまま履いてきてしまい……。 本作を手掛けたのは、高校生時代にオリジナルキャラクターを考えることにハマり、「それを動かしてみたい」と思って漫画を描くようになったという墨染清さん(@sumizomesei)。『はじめの一歩』(講談社)から強い影響を受けており、肉体の描き方は同作から学んだと話す墨染さんに、バズを起こしている本作誕生の経緯など聞いた。(望月悠木) ■「これまで描いたことのない生徒会を描いてみよう」 ――今回『クールでパーフェクトな生徒会長がめちゃくちゃダサイと唯一気付いている俺の話』を制作した理由を教えてください。 墨染:以前描いた読み切り漫画が暗い雰囲気の作品だったので、「気分を変えて明るいラブコメを描きたいな」と思って取り掛かりました。 ――なぜドジな生徒会長とクレバーな副会長というキャラをメインにしたのですか? 墨染:私の中で“ラブコメ=学校”という単純な図式がありました。また、一般生徒のラブコメは以前描いたため、「これまで描いたことのない生徒会を描いてみよう」と思いました。 ――参考にした作品はありましたか? 墨染:本作を制作するうえで着想を得た作品はないのですが、読みやすい漫画を描くために『殺し屋だって見守りたい』(スクウェア・エニックス)を参考にしていました。 ――生徒会長も副会長もどちらも可愛らしいキャラでした。 墨染:凝ったキャラデザは考えられないため、ビジュアル自体は何も考えずに手癖で描きました。また、性格は“ダサかわいい生徒会長とそれを見守る副会長”というイメージを膨らませた結果です。 ――とにかく生徒会長の表情に目を奪われる作品でした。まず副会長が電話をしながら生徒会長を褒める時、徐々に表情が明るくなっていく様子がとても可愛かったです。 墨染:「副会長のことを一片たりとも疑わず、褒め言葉に感動する素直さを見て取れるようにしよう」ということを意識しました。「とにかくチョロい女の子を描くぞ」と意気込みながら瞳の輝きを描いたと思います。 ■意外性がありつつも生徒会長の好感度が上がるラストに ――ラストで副会長を助ける時の生徒会長の顔がとてもイケメンでしびれました。 墨染:そこは「頼りがいのあるイケメン先輩を描こう」と意識していました。カッコ良い生徒会長として 振る舞っていた時は顔に力が入っている感じで、ラストは素に近い力のこもっていない自然体な感じで描きました。「“俺にしか見せない素のカッコ良い顔”を読者さんにも疑似体験してほしい」と思って描いた部分もあります。 ――ちなみに、副会長だけにカッコいい顔を見せる、というラストは最初から構想にあったのですか? 墨染:実は当初「スカートの裏返しに気付いていたのに言わなかった俺に怒り、真っ赤な顔をして拗ねる生徒会長」というラストをイメージしていました。ただ、これでは生徒会長の印象が悪くなると思い、意外性がありつつも生徒会長の好感度が上がるラストを目指しました。 ――その変更が最高のラストを生み出したと。 墨染:また、「それまでずっと優位に立っていた副会長が最後に生徒会長にギャフンと言わされてほしいな」という思いもあり、今回のラストに落ち着きました。 ――本作はバズりにバズっていますが、今後はどのような作品を描いていきたいですか? 墨染:現在趣味でもお仕事でもいろいろ漫画の制作中です。まだ詳しい情報は出せませんが、今回のような楽しいラブコメになっていると思います。また、漫画アプリ「comipo」や「Dlsite」で『イイネの先に悪魔!?』というラブコメ読み切り漫画を配信しているのでチェックしてもらえると嬉しいです。他にも、Xやpixivでもいろいろ作品を載せているので、年末年始などの暇つぶしに読んでいただければと思っています。
望月悠木