【深堀りフィアット600e】 かわいい顔した電気自動車がやってきた でも中身はしっかりモノでした
フィアットBEV最高のパワー
フィアット600eに組み込まれる走行用モーターは、交流同期式のZK02型で、最高出力は115kw/156ps、最大トルクは27.5kg-mを発揮し、前輪を駆動する。大柄なボディなだけにパワーアップされたもので、ステランティスのBセグメントBEVの中で最大となる。ちなみに、これまでの出力トップはアバルト500eの114kW/155psだった。 動力用主電池はリチウムイオンで、総電圧375V、総電力量は54.06kWhとなる。この容量はステランティスのBセグメントBEVの中で最大となる。 航続距離はWLTCモード国土交通省審査値で493kmと発表され、こちらもステランティスのBセグメントBEVの中で最長を記録している。 ファミリーカーとして使用されるクルマだけに、ADAS(先進運転支援システム)も充実。 フィアット初採用となるレーン・ポジション・アシストのほか、アダプティブ・クルーズ・コントロール、衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き)、レーン・キーピング・アシスト、トラフィック・サイン・レコグニション、ブラインドスポット・モニター、ドライバー・アテンション・アラート、スタビリティ・コントロール、360°パーキングセンサー、リアパーキングカメラと満載で、これらは標準で備わる。 サスペンションはフロントがマクファーソンストラット+コイルスプリング+スタビライザー、リアはトーションビーム+パナールロッド+コイルスプリングという、近年のフィアット小型車の定番といえる構成となる。ステアリングには電動アシストが備わる。
チーフデザイナーが来日
ジャパン・ローンチに際してイタリアのフィアット本社から、フィアット全モデルを受け持つチーフデザイナーのフランソワ・ルボワンヌ氏が来日し、600eのデザイン開発時の様々なエピソードが語られた。 3年前に就任し、フィアット・ブランドにスマイルを与えたいと意気込む彼は、600eのデザインを始めるにあたって「フィアット・デザインのDNA」をアーカイブ化し、再確認。そこにイタリアの風土や食材をイメージし、今後のデザインに何が必要か議論したという。 500に始まる「かわいい」、「愛らしい」造形は、デザイン部門内では「ドルチェ・ビータ・デザイン」と呼ばれているそうだ。500eから採用された、まぶたを思わせる人間味のある愛らしいデザインのヘッドランプも、600eに受け継がれている。 600eは当初、ヌウォーバ500のイメージを受け継ぐ拡大版としてデザインがスタートしたものの、まとまりが悪くボツに。そこで初代600のスロープした猫背リアスタイルを取り入れたところ、整ったデザインが完成したという。 またヘッドランプ廻りのデザインも初代600の初期型にインスパイアされたもので、ランプに連なるモールディングを600eではオーナメントに落とし込んでいる。 インテリアにも初代600のモチーフを数多く取り入れたと語られた。シンプルな塗装仕上げを思わせるインストゥルメントパネルや、メーター・クラスター、2本スポークのステアリングホイールがそうだ。 これからのフィアット・デザインはディテールにこだわりを持つ新たなイタリアらしいものとし、過去の要素は受け継ぎながらも古さは残したくないという。フィアットの遺伝子を継承しながら、モダンなディテールを未来につなげてゆきたい、と述べてくれた。