《ブラジル》父親2人のDNA持つ赤子=「家族の新しい形」の象徴に
リオ・グランデ・ド・スル州で5月、2人の父親のDNAを持つ同州初の赤子、アントネラちゃんが誕生した。現在5カ月の彼女は体外受精を通じ、代理母によって妊娠・出産され、家族の新しい形を象徴する存在となっている。同性カップルの両親、ジャルバスさん(48歳)とミカエルさん(35歳)は、アントネラちゃんの成長をSNSで共有して支持を広めており、フォロワー10万人以上を集めている。23日付ソー・ノチシア・ボアなどが報じた。 アントネラちゃんは5月17日、同性愛者への偏見と闘う「国際反ホモフォビア・トランスフォビアの日」という象徴的な日に誕生した。 父親のジャルバスさんは、養子縁組を試みたがうまくいかず、生物学的な子供を持ちたいと考えるようになった。それを知った友人のジェシカさん(31歳)が代理母になると申し出て、体外受精の可能性について調査を開始した。ブラジルでは「先天的に子宮を持たない」「手術で子宮を喪失した」「治療が困難な子宮疾患がある」「同性愛者」などのケースに限り、代理出産が認められている。 ミカエルさんの妹であるマリエナラさん(22歳)が卵子の提供者になることを志願し、ジャルバスさんの精子を用いて体外受精が行われ、胚が形成された後、ジェシカさんの子宮に移植された。 ミカエルさんのDNAの一部は、共通項がある妹の卵子を通して胚に共有されたと認識されている。こうしてアントネラちゃんは、2人の父親のDNAを受け継いで誕生した。 ジャルバスさんによると、2人の父親による子育て生活は穏やかだといい、おむつ替えや服の着替え、沐浴、哺乳瓶での授乳を協力して楽しんでいる。「娘はおとなしく手がかからない子です。家族や友人からの強力な支援ネットワークがあり、皆が娘の世話をサポートしてくれています」という。 ジャルバスさんは、アントネラちゃんの誕生日が同性愛に対する偏見と闘う日と重なったことに特別な思いを抱いている。「彼女の誕生日を、LGBTQ+コミュニティと共に祝えるのは大変感慨深いことです」と語った。 アントネラちゃんの日常はSNSを通じて見ることができ、彼女は性的マイノリティの世界でのアイコンのような存在になりつつある。ジャルバスさんは、「違いを愛し、尊重することが重要です。これは、皆がこの特別な女の子の本質を理解し、つながることを学べる意義深い瞬間です」と語った。 もう一人の父親ミカエルさんは、「アントネラの輝きは、愛こそが性の本質であることを教えてくれます。より多くの共感と理解を必要としているこの世界で、彼女は私たち一人ひとりが違いを生み出せることの証なのです」と話した。