専門家が「これは儲かるぞ、期待できる」と言っても「虫の好かぬ株は買うな」…伝説のファンドマネジャーが忠告する深い理由【株式投資の金言】
巷に投資に関する情報が溢れる今、参考にしたいのが「相場の達人」の言葉。本記事では『株式投資 100の金言』(さくら舎)から一部抜粋し、著者の〈桑原晃弥氏〉が、ピーター・リンチやジム・ロジャーズの金言を基に「投資する株を選ぶときに大切にすべきこと」をご紹介します。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
「虫の好かぬ株は買うな」
株式投資では自分がよく知っている株を買いなさいと言われるのは、自分の身近にある企業や、自分がよく知る業界のほうがその内容を理解できる分、安心して投資できるし、リスクも小さくなるという意味です。 反対にいくら「これは成長が期待できる」「この企業の株を買えば大きな利益が得られるぞ」と専門家や世間がはやし立てたとしても、自分にとってその企業のやっていることが理解できず、遠いものだとしたら、その企業の株を買う必要はありません。あるいは、自分にとって好みに合わない業種や会社もできるなら避けたほうがいいかもしれません。 伝説のファンドマンジャー、ピーター・リンチがこう言っています。 「ゼネラル・エレクトリックが良い投資対象であるとしても、それは必ずしもあなたがこの株を持つべきだということにはならない」 ウォーレン・バフェットが長くテクノロジー系の企業を避けてきたのはよく知られていますが、同様にバフェットや相棒のチャーリー・マンガーはカジノなどの企業への投資も避けています。 前者は長期的な成長への危惧からですが、後者は虫の好かない業種だったからとも言われています。たとえみんなが「儲かる」と言っても、好みに合わないなら避けたほうがいい。無理をして持つと楽しくないうえに、失敗したらずっと悔やむことになりかねません。
「鵜(う)の真似をする烏(からす)、水に溺れる」
相場格言というよりは諺(ことわざ)です。鵜飼いで知られるように鵜は魚を獲ることを得意にしていますが、鵜に姿かたちが似ている烏がその真似をして水に入って魚を獲ろうとすると溺れてしまう、という意味で、自分の能力や適性を考えずに人の真似をすると失敗することになるという教えです。 ピーター・リンチはプロ中のプロと言える投資家ですが、リンチが言う成功の秘訣の一つが「もはやプロの言うことに惑わされるな」です。投資の技術や経験、情報量の豊富さという点から、アマチュアがプロに勝つのは難しいわけですが、だからといってアマチュアがプロの推奨する株を買い、プロの言うとおりに売買していれば絶対に成功できるかと言うと、そうではありません。 リンチは言います。「アマチュアが失敗するのはプロの真似をしようと後追いする時だけである」アマチュアがプロの成功を見て、「あの株が買いだ」「今こそ投資の時代だ」と後追いする頃には、たいていブームは後半に差し掛かっています。 アマチュアは機関投資家の真似をする必要もなければ、かといって無理にアマチュアでいる必要もないのです。投資に相応しい株がなければ、時期を待てばいいし、自分がよく知る企業や分野の株に投資すればいい。自分の強みを生かし、自分流に無理をしない投資こそが成功につながるのです。 桑原晃弥 経済・経営ジャーナリスト ※本記事は『株式投資 100の金言』(さくら舎)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
桑原 晃弥