NATO次期事務総長にオランダのルッテ首相
北大西洋条約機構(NATO)の次期事務総長に、オランダのマルク・ルッテ首相(57)が就任することが確実になった。唯一のライバル候補だったルーマニアのクラウス・ヨハニス大統領が出馬を取りやめたため。 ルーマニアの大統領府は20日、ヨハニス氏が先週末、NATOに対して立候補を取り下げると通知したと発表した。 現職のイエンス・ストルテンベルグ事務総長は、今年10月で任期満了となる。 ヨハニス氏の撤退を受け、ルッテ氏が唯一の立候補者となったが、就任にはなお、加盟国からの正式な承認が必要となる。 ルッテ氏は、ロシアによるウクライナ侵攻に対するNATOの対応を監督する役割を引き継ぐ。また、ウクライナ侵攻へのアメリカの対応に消極的な姿勢を示してきたドナルド・トランプ前米大統領が11月の大統領選で再選された場合、アメリカに同盟国としての責務を維持させる役割も担うことになる。 ルッテ氏は過去に、トランプ前大統領に対して前向きに対処した実績がある。 AFP通信によると、ルッテ氏は今年2月のミュンヘン安全保障会議で、ヨーロッパは「ダンスフロアにいる誰とでも協力すべきだ」と述べた。 ルッテ氏は、昨年夏にオランダで連立政権が崩壊した後、政界を引退すると述べていた。しかしその後、NATOのトップの座に立候補した。 首相の後任となるディック・スホーフ氏は、今年5月末にオランダの新連立政権から指名された。これにより、ルッテ氏の退任への道が開かれた。 ルッテ氏は、ウクライナ支援に加え、欧州政治のトップに14年間いたことを評価され、イギリスやアメリカ、フランス、ドイツといった主要国を含む多くのNATO加盟国から事務総長候補としての支持を得た。 一方、ハンガリーとルーマニア、トルコの3カ国は当初、難色を示した。 トルコは懸念を表明していたが、4月にレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がルッテ氏と会談。その後、トルコメディアは同国がルッテ氏を支持すると報じた。 ハンガリーは今月19日、同国がウクライナへの軍事支援を義務付けられることはないと、ルッテ氏が同意したことを受け、反対を撤回した。 ハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相はX(旧ツイッター)に、ルッテ氏がストルテンベルグ氏との取り決めを「全面的に支持する」と認めたことから、ハンガリーはルッテ氏の「立候補を支持する用意がある」と書き込んだ。 ルーマニアでは、イオニス氏が立候補を取り下げた後に国防評議会に対し、ルッテ氏を支持するよう要請。大統領府は、同評議会がこれに応じたと発表した。 次のNATO首脳会議は7月、米首都ワシントンで開催される予定。 (英語記事 Mark Rutte set to be Nato chief as rival drops out)
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