「学ばない教師」が学級崩壊を招く! いま中学で求められている「特別支援教育」のスキルとは
発達障害など、さまざまな特性を持つ子が教育現場に増えている。そんななか、学級崩壊を招く原因は子どもではなく「学ばない教師にある」と断言するのが本稿の著者・長谷川博之氏だ。なぜそう言えるのか、校内で特別支援教育研修を担当し、特別支援コーディネーターを兼務していたこともある彼の意見を聞いてみよう。 【画像】死刑囚が「アイマスク」をするヤバすぎる理由 【屋外の屑カゴを破壊、車を破損……発達障害の中学生に「力の指導」をしてはいけないこれだけの理由】の続きである。
悪いのは子どもではない。学ばない教師である
記事の前半で「発達障害がある中学生への関わりと、彼らの身に起きた『事実』について報告する」と書いたが、今回の記事ではもう少しだけ、私の立場を明らかにしておきたいと思う。教師を生業とする人には耳が痛い話かもしれない。 私は「学力向上も生徒指導も授業で行う」「教えてほめて生徒の自己肯定感を向上させる」をコンセプトに、授業研究部長として学期に1回「職員全員模擬授業研修」を開催したり、特別支援コーディネーターを兼務する生徒指導主事として、年に2回の「特別支援教育研修」を企画、運営していたことがある(6年連続で行った)。 日本小児科医会、日本小児科学会、日本小児保健協会が連合してつくった「発達障害への対応委員会」に委員として参画させてもらったこともある。これは医学会の理事や代表たちが集う委員会で、教育現場から現役の立場で参加していたのは私一人だった。日本小児保健協会が主催する市民公開セミナーに登壇するよう依頼を受けたこともある。 そういったかたちで、それなりに深く関わってきた立場からハッキリ言っておきたい。 たとえ荒れて暴走してしまったとしても、悪いのは発達障害がある子どもたちではない。技術のない教師に非があることのほうが、はるかに多いのだ。 「生徒指導困難校」とされ、生徒指導加配と不登校指導加配を受けている学校(かつて私が勤務していた学校が、まさにそうであった)で、我流は通用しない。 2023年12月13日、文部科学省は、「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)」を公表した。以下単に「調査」と略すが、この調査の結果が与えたインパクトは記憶に新しい。 10年前は小中学校の教室にいる子の6.5%が、「教育的支援を必要とする」とされていた。ところが今回の調査では、その数字が「8.8%」と、実に1ポイント以上も跳ね上がり、1割に手が届くところまできているのだ。 このような調査がある以上、今後は我流を通そうとする教師が減るものと信じたいが、特別支援教育を「学ばない教師」は、例外なく、学級を統率できておらず、授業も崩壊しているというのが現状だ。