カニエ・ウェスト、設立した学校を巡って新たな訴訟 「髪を剃る」「牢屋に入れる」と生徒を脅迫していた疑惑が浮上
2022年に母の名前をつけた私立学校ドンダ・アカデミーを設立したカニエ・ウェスト。2023年4月に元教師らから不当解雇や給料の未払いで提訴された。その裁判で学校の安全対策や衛生対策が不十分であること、子どもたちへのケアもお粗末であることなどが指摘された。元教師らによると教室には椅子がなく、子どもたちに与えられる食事は寿司だけ。子どもたちはそれを床で食べていたという。保健室などの設備もなく、化学洗剤を使った清掃も禁止。現在学校は閉鎖されているが、これが一時的なものなのか、閉校する予定なのかは明らかになっていない。
この学校についてかつてカニエのブランド「Yeezy」で働いていたスタッフが訴訟を起こした。原告のトレバー・フィリップスはカニエから人種差別やハラスメント、報復行為を受けたとして提訴しているが、「Yeezy」の従業員であったにもかかわらず学校で働くよう命じられていたという。
フィリップスは2022年12月にカニエと夕食を共にしたときのことを裁判書類で明かしている。学校のカリキュラムや園芸のクラスについて話し合う予定だったが、カニエはユダヤ人差別的な演説を始めたという。フィリップス曰く「ユダヤ人をこき下ろし、ヒトラーを革新者だと称賛していた。ホロコーストはフェイクだと主張していた」「授業について話し合うつもりが結局は反ユダヤ主義的で偏見に満ちたカニエの独り語りになった。そしてセクハラで締め括られた」。セクハラ部分について「カニエは話している間不適切な行為を続け、自分が“興奮”していることを見せびらかした」とフィリップスは主張している。
カニエはSNSでもユダヤ人に対する差別的発言を繰り返してアカウントを停止されたことがある。フィリップスの前でも同様だったようだが、彼によると「生徒たちの前でも誇らしげに反ユダヤ主義的な陰謀論を語っていた。2人の生徒に対して『髪を剃ってやりたい』『学校に牢屋を作ってそこに入れる』と脅していた」。 フィリップスはアフリカ系の男性だが「カニエの黒人スタッフに対する扱いは白人スタッフに対するものより明らかに劣悪だった」とも。キャンパス内にいるアフリカ系の警備員に「ドレッドヘアを剃らなければクビだと命令していた」としている。 フィリップスは損害賠償の他に、カニエが今後カリフォルニア州で18歳未満の子どもたちを対象としたいかなるタイプの学校も開校できないようにする差し止めも要求している。カニエはこの訴訟に対してまだ何も反応していない。今後どのような対応を見せるのか続報を待ちたい。