若き女性“鬼師”が「清水瓦」の再興めざし…44人が死亡した豪雨災害で歴史が途絶えた伝統産業 静岡
瓦の魅力を伝える専門店オープン
清水瓦の良さを伝えたい。 その思いで2024年10月にオープンさせたのが瓦を使った小物の展示や販売を行う専門店だ。 コンセプトは「素材としての瓦の魅力を知ってもらうこと」。
店内には清水瓦を使ったお守りやイヤリングなど約40種類が並んでいる。 来店客も「瓦を残したいという気持ちが伝わってきて、(瓦を)新しい形でいろいろな人の生活に馴染むように考えている。応援したいと思う」と好意的に話す。
特に繊細な加工を施したアロマストーンは自慢の逸品だ。 長澤さんによると瓦が長年使われてきた理由の1つが吸水性で、冬に屋根裏が結露した時には瓦が水を吸い込んで家を腐らないようにしてくれるという。 だからこそ「瓦が呼吸をして湿気を逃がしてくれることを知ってほしくてアロマストーンにした」と商品開発に至った。
まだオープンから日は浅いが、中にはオリジナルの商品の製作を依頼する客もいる。 この日は神輿の製作を依頼され、サイズなどを打ち合わせていた。 神輿を依頼した客: 絵(デザインイメージ)を描いてくれて、たまたま(神輿が出る)イベントがあるので、それに参加して(デザインなどを)再確認してくれると。そういう職人はいない
父娘で“古き良き日本の景色”を守る
長澤さんがこの道に進むきっかけとなった話をした父は前述の通り瓦葺き師で、鬼瓦の製造を専門とする娘とはジャンルこそ違えど、「瓦のよさを広めたい」との思いは同じで、娘に大きな期待を寄せている。 父・長澤宗範さん: 娘ながら尊敬する。自分でどうしていきたいのか、ちゃんとビジョンを持ってやっているというところはすごく感心する
鬼師・長澤玲奈さん: 瓦をどんどん広めていきたいという思いがあるので、(静岡市に)駿府城が再建される時には私が鬼瓦を作りたいという思いと、新しく家を建てる人が「瓦がいいよね」と選んで声をかけてくれたらすごくうれしい
古きよき日本の景色を守っていくために。 災害により一度は途絶えた郷土の伝統産業を後世へと残す長澤さんの取り組みはまだ幕が開いたばかりだ。
テレビ静岡