120秒で分かる 厳戒ソチ五輪とロシアの民族問題
2月7日にロシア南部のソチで開幕する冬季オリンピック。 現地では、テロ対策に余念がありません。 この厳戒態勢、ロシアの民族問題に原因があるようです。 いったい、どういうことなのでしょうか? ロシア北カフカス周辺でテロが頻発する4つの理由
2月7日からロシア南部のリゾート地ソチで行われる冬季オリンピック。開幕まで1ヶ月をきりました。ロシア国内の報道によると、オリンピック期間中にソチ周辺には4万人以上の警察官が動員され、ロシア軍部隊も会場周辺に配置され、厳戒態勢の中で競技が行われる模様です。これだけの警備が敷かれる理由。それはロシアを長年悩ませてきたテロの存在で、テロの多くは北カフカス出身者によって起こされています。
1991年のソ連崩壊後、南カフカス地方ではグルジアやアルメニア、アゼルバイジャンが独立を果たしました。しかし、チェチェン人やダゲスタン人が多く住む北カフカス地方の独立をロシアは決して認めませんでした。チェチェンを例にとっても、ロシア連邦からの分離・独立を巡って対立が続き、イスラム原理主義に基づいた新しい国家を作るべきだと主張するグループも存在します。チェチェン紛争後もロシアの介入は続き、数万人のチェチェン人が「行方不明」になったという報告もあり、ロシア当局の人権侵害も問題視されています。
昨年12月末に自爆テロが連続して発生したヴォルゴグラードは、ソチから700キロ以上離れた場所にありますが、実はソチは北カフカスに隣接しているため、テロの脅威がヴォルゴグラード以上に存在するという指摘もあります。また、ソチからわずか20キロの場所にはグルジアからの分離独立を巡って90年代に紛争が勃発したアブハジアもあり、ソチ・オリンピックは、「火薬庫」の隣で行われる五輪と言っても過言ではありません。