「ミシャサッカー」は死なず 北海道コンサドーレ札幌は最下位からの巻き返しに自信あり
北海道コンサドーレ札幌がJ1第7節終了時で最下位と苦しんでいる。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任して今季で7シーズン目。攻撃的なサッカーでJ1を戦い続けてきたが、選手の入れ替えも多く、ついに限界かとの声も囁かれてきた。ところが、現場は巻き返しに自信たっぷりなのだ。選手の声を聞いた。 【写真】元NMB48&北海道コンサドーレ札幌サポ 堀詩音さんフォトギャラリー 【第7節でようやく今季初勝利】 4月6日のJ1第7節、札幌ドームで行なわれたガンバ大阪との一戦で、北海道コンサドーレ札幌は、ようやく今季のリーグ戦初勝利を挙げた。 福岡でのアビスパ福岡との開幕戦を0-0で引き分けて無難なスタートを切ったものの、その後、"1勝"を掴み取るまで思わぬ苦戦を強いられた。第2節、アウェーでサガン鳥栖に4失点の完封負けを喫したあと、浦和レッズ、町田ゼルビアとのホーム2連戦は、ともに1点差の惜敗。第5節、アウェーのヴィッセル神戸戦では6失点で完敗した。 仕切り直しのような格好で迎えたホームの名古屋グランパス戦でも終了間際に失点してゲームをひっくり返され、第2節から5連敗。順位も最下位となった。 「まだ見たことのない景色」を合言葉に、コンサドーレはここ数シーズン、クラブとしてのさらなる飛躍を目指し、筆者の目からは着実にその頂きに近づきつつある感触を得ていた。しかし、今季はなかなか勝ち点を積み重ねられないばかりか、連敗続き。最下位に甘んじているという現状に、かつてJ1とJ2を行き来していた当時の景色を思い浮かべたサポーターも少なくなかったのではないだろうか。
【最下位にいるようなチームではない】 勝負の世界である。結果が出なければ、当然のことながらさまざまな意見が飛び交う。そこでクローズアップされたのが、かねてから疑問を呈されていたコンサドーレの攻撃的な戦術である。 ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の就任とともに2018年シーズンからコンサドーレにもたらされた攻撃的な手法は、氏がサンフレッチェ広島の監督時代(2006年~2011年)に確立した革新的な戦術。監督の愛称"ミシャ"を取って「ミシャサッカー」と呼ばれ、日本サッカー界に広く知れ渡っている。 だが、かつてJリーグで猛威をふるった攻撃的な戦術ではあったものの、実のところ「今は昔」とばかりに浦和レッズの監督を退いた2017年ごろからは、限界論が囁かれ始めていた。 今回、連敗を受けて再び限界論が頭をもたげ、ネット上を漂うようになってきたのだが、現場はそんな風評など、どこ吹く風だ。G大阪戦で決勝ゴールを決めて、今季初勝利の立役者となった宮澤裕樹は、試合後のヒーローインタビューで力強く言い放った。 「こんなところ(最下位)にいるようなチームではない」 宮澤だけではない。その宮澤から今季、主将を引き継いだ荒野拓馬もこう言う。 「ひとつ勝ったことで、正直、ホッとしたところはありました。開幕してしばらくは、 実は、まったく自分たちの形が見えなかったんですよね。こういう試合の流れのときには、こういうことが起きるって予測してポジションを取ったりするんですけど、コンビネーションが取れなくて、ビルドアップの段階から後手に回っていました。 たとえば、中盤でボールを受けてターンをした時、出したいスペースに人が動き出していないとか、何もかもタイミングが合わずにうまくいきませんでした。やるべきことができないと、こういった結果(連敗)になるのだろうとあらためて思いました。 ヴィッセルに6点やられて、なんか吹っきれましたよね。シンプルにミシャサッカーの3原則、"走る""戦う""規律を守る"の3つをしっかりやろうと確認し合いました。まずは動いて、詰まっているような状況に陥ったら、前線のターゲットに当てようとか、裏のスペースを突こうとか。チームとしての形が見え始めてきたのは、その次の名古屋戦あたりからですね。やるべきことができたならば、最下位にいるようなチームではないと信じています」