<一球入魂・’22センバツ木更津総合>第1部 軌跡/4 制約の中、課題を克服 大会延期さえも前向きに /千葉
新型コロナウイルスの感染拡大は、木更津総合の部員たちにも大きな影響を与えてきた。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し出され、活動に制限がかかる中、選手たちは現実に向き合いながら、甲子園出場という目標のため、ひたむきに努力を続けた。 2021年10月3日、木更津総合は秋季県大会決勝で拓大紅陵を14―2で破った。ただ、関東大会が開催される茨城県では、8月に県独自の非常事態宣言が発令され、休校・部活動の中止が続き、県大会開催が遅れたため、関東大会の日程も1週間先送りになった。関東大会の前、五島卓道監督は「県大会を勝ち上がってきた勢いを欠いてしまうのではないか」と不安な胸の内を明かしていた。 2年生が入学した20年4月、最初の緊急事態宣言が出た。学校は休校し、寮に入ったばかりだった栃木県出身の鶴見龍辰外野手(2年)は地元に帰った。「信じられず、動揺した。しょうがなかった」と振り返った。寮が再開するまでの2カ月間、自主練習に打ち込んだ。 6月に寮に戻ったが、感染対策のため食堂では席の間隔を空けて食事を取るなどしている。学校生活でも体育祭や文化祭の日程は短縮され、今年2月に予定されていた修学旅行は中止となった。鶴見は「入学前に想像していた高校生活とは違った」と声を落とす。 五島監督は「高校球児は声を出すのが仕事みたいなもの。練習も盛り上がって雰囲気が良くなる。ただ、今は『あまり大きな声を出すな』と言うしかない」と話す。 困難な状況でも部員たちは前を向く。朝倉暖内野手(1年)は「関東大会までの期間は課題の守備を固めることができた」と言い、芦川正真内野手(同)も「1週間伸びたことを前向きに捉え、打撃フォームの改善ができた」。鶴見は「当たり前に練習できない期間もあったので、1回1回の練習を大切にするようになった」と語る。 関東大会1回戦(21年10月31日)で、木更津総合は帝京第三(山梨2位)と対戦した。試合は三回に菊地弘樹内野手(2年)の適時打で先制。八回に大井太陽外野手(同)の犠飛などで2点を追加し、3―0で勝利した。五島監督は関東大会の日程変更を「結果的に選手はそれぞれ課題に取り組み、仕上げることができた」と評価する。続く準々決勝では、昨春のセンバツを制した東海大相模(神奈川1位)と対戦した。=つづく