坂口健太郎×イ・セヨン「愛のあとにくるもの」撮影現場に潜入!2人が明かした言語を超えたケミストリー
Prime Videoにて見放題独占配信中、日本に先駆けて韓国の動画配信サービスCOUPANG PLAYでも配信中の韓国ドラマ「愛のあとにくるもの」。原作は韓国の人気女性作家、コン・ジヨンと、日本の恋愛小説の名手、辻仁成が、それぞれ女性主人公の視点、男性主人公の視点から、日本と韓国を舞台に展開する男女の恋模様を描いた同名小説だ。 【写真を見る】いざ、聖地巡礼へ!潤吾とチェ・ホンが距離を縮めるきっかけとなったラーメン屋は、上野に実在する店舗 小説家を目指す大学生の潤吾と、韓国からの留学生、チェ・ホンは日本で出会い恋に落ちるが、すれ違いから決別してしまう。それから5年後、2人は冬の韓国で運命的な再会を果たすことに。一度終わった“愛のあとにくるもの”とは、いったいなんなのだろうか。 潤吾役に、昨年行われた韓国でのファンミーティングも大盛況だった『余命10年』(22)の坂口健太郎、チェ・ホン役に「宮廷女官チャングムの誓い」に子役として出演し、「赤い袖先」「医師ヨハン」など話題作のヒロインを務めてきたイ・セヨンを迎えた本作。制作発表時から日韓実力派俳優のW主演で贈る純愛ラブストーリーとして注目を集める、話題のドラマとなっている。 MOVIE WALKER PRESSは、今年4月に東京・上野で行われた潤吾とチェ・ホンの出会いを描くシーンの撮影現場に潜入。日本と韓国のチームが一丸となって行われた撮影の様子や、初めて2人そろってのメディア取材に応じてくれた、坂口とイ・セヨンのインタビューも交えて貴重な舞台裏をお届けする。 ■日本、韓国チーム一丸となって作り上げられた撮影現場 白タオルを頭に巻き、Tシャツにエプロンという“ザ・ラーメン屋スタイル”で現場に現れた坂口とイ・セヨン。この日は潤吾とチェ・ホンが、偶然にも同じラーメン屋のアルバイトに応募したことで、交流が生まれるきっかけになったシーンが撮影された。撮影条件に合ったロケ地を探すなかで選ばれたのは、上野にある実際のラーメン屋店舗。店内の装飾は美術チームによって、店名の書かれた暖簾から「おいしいラーメンの食べ方!」という張り紙、年季の入ったように見える招き猫まで、もともとこの店にあったものと見間違えてしまうほどに作り込まれている。また吉祥寺にあるラーメン屋という設定のため、店内外に貼られたポスターには“吉祥寺”という地名がさりげなく入っているのもポイントだ。 1名しか設けられていないラーメン屋のアルバイトの座を巡って、接客テストに挑むことになる潤吾とチェ・ホンだが、留学生であるチェ・ホンに対し心ない態度を取る客の男が登場。潤吾はそんな男に対して彼女に謝るように要求し、一触即発の雰囲気になってしまう。そんな騒動を巻き起こした結果として、採用されるのはチェ・ホンになるわけだが、このことをきっかけに2人は互いを意識するようになる。男性客が怒鳴りつける場面もあり、現場がピリッとした空気に包まれる瞬間もあった。しかし、すでに数か月にわたる撮影をこなしてきた現場チームには一体感が感じられ、合間では部門や国の垣根も超えて、楽しそうに談笑するスタッフ、キャストたちの姿が見受けられた。日本、韓国のスタッフで構成されている本作の現場では、常に両国の言語が飛び交っている。もちろん、全員が日本語、韓国語の両方をマスターしているわけではなく、コミュニケーションが重要な課題の一つであることは想像に難くない。しかし、現場の日本人スタッフは「コミュニケーションはすごくよく取れていますよ。お互いに積極的に学ぼうとしているから、覚えた韓国語で『自転車が通ります』と呼びかけたのに、日本語で返してくれたりするぐらい(笑)」と笑顔で語った。 夏を先取りしたような暑さだったこの日、汗をかきながら重量のある機材を運ぶ韓国のスタッフに対し、「大丈夫?」と声を掛け、自身も荷物の運搬を手伝っていた坂口。言語的なハンデがあることは撮影前から理解していたからこそ、積極的なコミュニケーションを取ろうと心掛けた成果もあり、「(韓国語は)ちょっとずつ聞き取れるようになってきたし、話すこともできるようになってきて」と語る。「僕がもともとおしゃべり好きなのもあるんですけどね(笑)。やっぱり言葉が伝わらなくても、主演をやらせて頂いている僕たちが笑っていると、現場を和ませることはできると感じています」と、力強い言葉で座長としての矜持も明かした。 イ・セヨンも坂口の順応能力の高さを称賛する。「最初に韓国から撮影がスタートしたので、母国語ではない現場で1人でお芝居をするのは大変だろうなと思いましたが、やっぱり経験が豊富な方なので、すぐにコミュニケーションを取れるようになっていたのはさすがだなと思いました」とにっこり。もちろん、日本に語学留学に来たという設定のチェ・ホンを演じるにあたり、イ・セヨンも母国語ではない言葉で演技をしなければならない。「チェ・ホンを演じることはすごくチャレンジだと思いましたが、その高みに到達したい気持ちがありました」と出演の決め手を語ってくれた。言葉どおり、現場でのイ・セヨンは真剣な表情、眼差しで監督の言葉に耳を傾け、役作りにも余念がない。坂口は、「セヨンさんは日本語でセリフを言っていて、それだけですごく難しいことだと思います。そこになおかつ感情を入れなきゃいけない。そんな難易度が高い演技なのに、本当にすばらしくお芝居されています」と、その苦労がわかるからこそ心からの賛辞を送る。互いへの俳優としての信頼が伺えた。 一方で、言語を超えた2人のケミストリーを感じた瞬間もあると言う。「言葉が通じない壁はあると思いますが、それよりも感情でつながるので、その非言語的な部分を感じながらお芝居しました。私が『これを説明したい』と思ったことを、健太郎さんはいち早くキャッチしてくださって、スムーズに進めていくことができました」というイ・セヨン。坂口も、「“いま、このタイミングがいい”…セヨンさんと、そういうものがフィットする感じがとてもあります。どんなにお話が上手で、言葉が流暢に喋られても、この“ちょっとした間”みたいなものって、やっぱり相性が大事。うまくそこがはまらないと違和感を抱えつつお芝居することになると思うんです」と指摘する。「言語で交流するよりも、お芝居を通じてお互いを理解するきっかけができたというか。そういうところはありましたね」。イ・セヨンも脚本を読んだ時、「潤吾とチェ・ホンの愛が美しく見えた」と語ったとおり、言葉や文化を超えていく2人の関係性を現実でも体現していったからこそ、カメラ越しに見る坂口とイ・セヨンは、とても自然体で美しかった。 ■“春の日本”と“冬の韓国”。2国間の撮影を通じ感じたこととは 本作は、潤吾とチェ・ホンの関係性と共に移ろう季節も繊細に描きだしており、エモーショナルな映像表現も見どころだ。春の日本での別れから5年、冬の韓国で再会した2人は、立場も周囲の人間関係も、恋に落ちていたあのころとは様変わりしてしまっている。再会後が撮影された韓国ロケについて、「冬のすごく寒い時期に撮影をしていたんですが、このシチュエーションは、夏の太陽の下で撮影するより、潤吾の心持ちとすごくマッチしてるんですよね」と、当時を思い出しながら語った坂口。「撮影監督が、『韓国の空と日本の空は全然違う』と教えてくれたんです。もちろん時期的なものや場所的なものもあると思います。でも“韓国の冬の空の下”での潤吾は、すごく悲しみやせつなさを感じると。それがすごく印象的でしたね」。2つの国を舞台に描かれる物語だからこそ、シーンごとに、その土地でしか醸しだせない空気、文化や歴史を味わえるのは本作ならではの魅力だろう。 日本と韓国の撮影を経験した2人は、両国の現場に感じた違いはあるのだろうか。初めて日本での撮影に臨んだイ・セヨンは、「日本は普通の商店であっても、何世代にもわたった伝統があり、職人気質で、プライドを持ってやられている気がします。そんな風土を、日本の撮影現場でも感じました。例えば小道具一つのこだわりであったり、ロケーション・マネージャーの方が撮影開始の何時間前にも来て、チームのために美味しいドリンクを作ってくれたり。そういった一つ一つの気遣いがすばらしくて、自身の役割に対する誇りを感じます」と、その時の様子を思い出して笑みもこぼしながら、肌で感じた日本の空気感を語ってくれた。 坂口は「僕はまだ何度も韓国の作品に出させていただいたわけではないので、これが通常なのかはわかりませんが」と前置きをしたうえで、韓国の現場と、テストやリハーサルを入念に行う日本の現場との段取りの違いを語る。「韓国ではすべての過程を本番としてカメラを回していくんですよね。だからこそ、芝居をする側の集中度も増すし、撮影部やほかの部門も、一発にかけなきゃいけないというエネルギー量をすごく感じました。ただ、日本は日本でちゃんと段取りを踏まえることよって、一発で決まった画が作れるかもしれない。どちらのやり方も利点があると思います」。 儚く美しい時を過ごした潤吾とチェ・ホンは、再会の果てにどのような運命をたどることになるのか。日本と韓国、坂口とイ・セヨンの魅力を存分に味わうことのできる「愛のあとにくるもの」で、2人の愛の行方を目撃してほしい。 取材・文/MOVIE WALKER PRESS編集部
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