【詳報】NTT西子会社情報流出認める 元派遣社員 岡山地裁津山支部で初公判
NTT西日本の子会社NTTビジネスソリューションズ(BS社、大阪市)から大量の顧客情報が流出した事件で、不正競争防止法違反(営業秘密領得、開示)罪に問われた同社の元派遣社員の被告(63)は23日、岡山地裁津山支部の初公判で起訴内容を認めた。検察側は懲役3年、罰金100万円を求刑し、即日結審した。判決は7月11日。 被告は被告人質問で、顧客情報が保管されたサーバーの管理体制について「担当者全員がIDとパスワードを共有し、使い回していた」とした上で、USBメモリーへの複製を防ぐ仕組みも「なかった」とずさんな実態に言及。動機については自らの借金返済に加えて「派遣先で13年も働いてきたのに待遇がひどく不満だった」と説明した。 検察側は冒頭陳述で、2014年に発覚した通信教育大手ベネッセコーポレーション(岡山市)の情報流出事件に着想を得て、16年から顧客情報の売却を始めたと指摘。論告では「知識や立場を悪用した卑劣な手口」と非難し「模倣犯を許さないためにも厳罰が必要」と述べた。 弁護側は最終弁論で「反省している」などとして執行猶予付き判決を求めた。 起訴状などでは23年1月、NTT西系列のNTTマーケティングアクトProCX(プロクス社、大阪市)が運営するコールセンターのサーバーから営業秘密に当たる山田養蜂場(岡山県鏡野町)の顧客情報約3万2千人分をダウンロードし、名簿業者にメールで送信したとされる。 NTT西などによると、流出した顧客情報は企業や自治体など69団体の928万人分。複数の名簿業者に2千数百万円で売却されたとみられる。被害団体はプロクス社にコールセンター業務を委託しており、そのサーバーの保守運用を担っていたのがBS社だったという。