大谷翔平、ベッツの〝代役〟で縦横無尽 3安打4出塁1盗塁
【デンバー(米コロラド州)17日(日本時間18日)=丹羽政善通信員】米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手(29)はロッキーズ戦に「1番・DH」で出場。左手の骨折で離脱したムーキー・ベッツ内野手(31)に代わって切り込み隊長を務め、5打数3安打1四球1打点で9-5の勝利に貢献。7月16日(同17日)に米テキサス州アーリントンで行われるオールスター戦のファン投票の中間結果で、ナ・リーグのDH部門でトップの票を集めた日に、チームの窮地を救う活躍をみせた。 ベッツの離脱という衝撃から一夜明け、大谷がすぐに穴を埋めた。5月18日のレッズ戦以来、今季2度目の1番打者として躍動。右へ左へ打ち分けて約1カ月ぶりの3安打に、盗塁も成功させるなど、代役以上の働きをした。 「もう、みんなでカバーしていくしかない」 2018年のMVPで、今季打率・304、10本塁打、40打点の活躍を見せていた不動の1番打者、ベッツの左手骨折が判明した前日16日、大谷は必死で前を向いた。その思いが、打順が2番から1番に変更した試合でバットに乗り移った。 1―0の二回2死二塁。ロッキーズの先発右腕、クワントリルのスプリットを右前へ適時打。四回はスプリットを捉えて右中間へ、六回はシンカーに逆らわず左翼線に運び、2本の二塁打を放った。ロバーツ監督は「左方向にヒットも放った。しばらくああいう打球を見ていなかったので、いい兆候だ」と復調を感じ取った。 1番打者らしく足でも魅せた。四球で出塁した八回には二盗に成功。今季16盗塁目でメジャー通算102盗塁とし、日本勢で歴代2位の松井稼頭央(メッツなど)に並んだ。6打席で4度出塁し、打率はリーグ4位の・314に上昇。ベッツに続き、今季6勝の山本が右肩腱板の損傷で15日間の負傷者リスト(IL)入りした。大谷は主力選手の相次ぐ離脱というチームの窮地に奮い立ち、勝利に貢献した。 指揮官はヒット以上に八回の四球を評価した。「しっかりとゾーンの見分けを意識していることが感じられた」。先頭打者としてボール球を見極め、ファウルで粘って歩く。大谷のフォア・ザ・チームに徹する姿勢こそ、離脱者が続出するいま、必要なことだった。
この日発表されたオールスター戦のファン投票の第1回中間発表では、大谷がナ・リーグDH部門でトップの100万2377票を集めた。ベッツや山本の離脱はチームにとって痛手だが、新しい勝ちパターンを示すことができたのは収穫だろう。「打線の中でもアプローチも変わる」と語っていた大谷が、今季最大のチームの危機を救う。