原子力共創「工程表」了承/立地市町村長ら
原子力施設と県内立地地域の共生を議論する「共創会議」の第3回会合が31日、青森市のホテル青森で開かれた。経済産業省資源エネルギー庁は、国や事業者、地元が一体となって進める「共創事業」の実現に向けた工程表と、事業に充当できる25億円(単年度5億円上限)の交付金を提示。立地4市町村長ら出席者から異論は出ず、取りまとめた。防災や医療体制、産業の高度化といった各事業は国の交付金などを財源に、実現へ検討が進むことになる。 エネ庁は、過去2回の会合で立地4市町村長から出た要望を基に、工程表に載せて検討を進める事業を選定。各事業を約5年以内の「短期」、5年以上要する「中長期」に分けて示した。 むつ市が要望した「むつ総合病院新病棟建設」「総合検診センター」などは短期事業に位置付け、国と県、自治体、事業者が一体となって取り組むとした。 大間町の「大間・函館航路フェリー大函丸の更新」は、実現の可能性を検討。六ケ所村が求めた「農業・医療分野などの研究開発拠点化」、東通村の「冷凍加工団地整備」などの要望も組み込み、検討を始める。山本知也むつ市長は「スピード感を持って取り組むべき事業を最優先に記載してもらえた」と感謝した。 宮下宗一郎知事は工程表のうち「グリーントランスフォーメーション(GX)関連産業の誘致・振興」を取り上げ、立地地域だけでなく「全県への配慮がなされている」と評価した。 一方で下北半島縦貫道路をはじめとする避難道路に関しては、「整備促進」にとどまった。県町村会長の小又勉七戸町長は「具体的に書き込めないのか。原子力施設の操業が大幅に遅れる中、道路整備も進まないのでは、事業への信頼が確保できない」と注文した。 国は共創事業に充てる25億円の交付金について、県が今後作成する地域振興計画に基づき、「優先的に進めていく事業に使われる」(村瀬佳史・エネ庁長官)とした。 しかし各事業の経費を機械的に積み上げれば25億円では足りず、財源に関して具体的な記述もない。宮下知事は「政府全体で後押しする形をつくることで、各事業(の財源確保)をお願いできる根拠になってくれる」と説明。予算獲得へ工程表が「重みになる」(県幹部)との期待がある。