海運業界の支援本格化。東ソーグループ、特殊タンク船で救援物資輸送
能登半島地震の被災地の復旧に向けて、海運業界の支援が本格化している。12日に七尾港(石川県)で、救援物資を積載した東ソーグループの特殊タンク船「東駿丸」(499総トン)の荷揚げが行われ、水や食料、毛布などが現地に送り届けられた。震災発生後、政府が内航団体を通じて、海上物資輸送可能な船舶の確保を進める中、東ソーグループは自発的に支援・協力を決定、早期復旧に積極的に取り組んでいる。 「東駿丸」は2020年5月にカナサシ重工(静岡県)で竣工。通常は液体苛性ソーダの輸送に従事している。 今回の救援物資輸送について、東ソーグループは現地の道路事情などを踏まえ、国土交通省海事局、港湾局の理解を得た上で、海上輸送で実施することを決定。「東駿丸」を起用することにした。荷主は東ソー、オペレーター(運航船社)は東ソー物流、船主はコーウン・マリンで、コーウン・マリンが船舶管理を担った。 輸送した救援物資は水、保存食、簡易トイレ、毛布、タオル、携帯カイロ、紙おむつ、生理用品、カップ麺など多岐にわたり、計339箱に上った。 「東駿丸」は8日に徳山下松港(山口県)新南陽地区を出港。三国港(福井県)を経由し、七尾港に入港した。荷揚げは12日に行われた。 当日の荷揚げ作業には七尾市役所、佐川急便、七尾海陸運送、福井運輸支局、同支局の声掛けで集まった北陸トラック運送、ラニイ福井貨物など、複数の関係者が協力。茶谷義隆七尾市長も激励に駆け付けた。 東ソーグループは「被災された皆さまの生活が一日も早く平穏に復することをお祈り申し上げる。今回の物資が皆さまにとって少しでもお役に立てれば幸いだ」とコメント。 国交省によると、12日までに被災地支援の海上物資輸送への協力で17の内航事業者が名乗りを上げている。
日本海事新聞社