【RISE】元Jリーガー安彦考真KOで2年ぶり勝利 次戦OFGマッチ直訴「もうひとつ上に」
<RISE:179大会>◇30日◇東京・後楽園ホール 元年俸120円Jリーガーで20年末から格闘家に転向した安彦考真(46=YS横浜)が西田祥(46=TARGET SHIBUYA)に2回KO勝ちで約2年ぶり勝利を手にした。 序盤からキック、パンチとお互いに積極的に攻撃を仕掛ける展開となり、2回に安彦がロープ際へ西田を追い込み右腕をひと振り。あごにクリーンヒットし、マットに沈めた。 マイクを持った安彦はリング下で見守っていたRISEの伊藤隆代表へ目を移し「伊藤代表、もうひとつ上にいきましょう。(自分の)ステージを上げていただいて。次回はオープンフィンガーでお願いします!グローブが邪魔で仕方ないので」と直訴すると、会場からは大きな歓声が起こった。 サッカー選手から格闘家へと転身した自身のキャリアについても触れ「自分は何のために格闘技をやっているのか。社会を良くしたいからです。ここに来てくれたみんなを幸せにしたい」と語った。「1日1日、一切手を抜かずやり切っています。多くの人が活力をもらっていますと言ってくれます。きっとその人たちもつらい日がある。それでも応援してくれるんです。感謝を表明したい。今日、おっさん2人が殴り合った。1歩も引かなかった。KOですよ。だからみんなもできるはずだ!やろうぜみんなで!」と呼びかけると大きな拍手が起こり、最後は勝利時のお決まりとなっているコール「3、2、1、バモ!」を2年ぶりに決めた。 試合前には「今回は勝敗よりも勝ち方にこだわる」と宣言。原点であるサッカーでの1対1で重要となる空間認知を格闘技の動きにも取り入れたほか、過去のブラジルへのサッカー留学経験を生かした独特のリズム感も採用。「ブラジルのリズムとサッカーのテンポをキックボクシングで生かして相手が困惑する状態を作る」と語り、試合へ向けてはイングランドのプロボクサー、ベンジャミン・ウィテカーの動きを研究。「彼は彼のリズムの中で生きている。同じように自分のリズムを奏でながら、そのテンポに合わせて自分を表現する」と練習を積んだ。 安彦は格闘家転身直後から元K-1王者、小比類巻貴之氏のジムに所属して指導を受けていたが、昨年9月末で退会。サッカー選手時代の古巣であるJ3のYS横浜が発足を発表したキックボクシングチーム所属として再スタートを切り、同11月に現役プロレスラーで元RISEランキング2位の前口大尊(37=飯伏プロレス研究所)とオープンフィンガーグローブでのキックボクシングルールで対戦。2回途中に右肩を脱臼するアクシデントで涙のTKO負けを喫し、今回が復活を期した一戦だった。 脱臼癖をつけないようにするため、今回はプロボクサーの元プロボクサーの中谷正義、RISEの直樹らに教わりながら再発防止の体作りを徹底。「コツを教わって強さが身につき始めている」と自信を深めていた。さらに今回は水抜きなしでの8キロ減量も実現。ヴィーガン食など食事制限などのみで肉体を作り上げて臨んだ一戦で、見事な復活勝利を手にした。 ◆安彦考真(あびこ・たかまさ)1978年(昭53)2月1日、神奈川県生まれ。高校3年時に単身ブラジルへ渡り、19歳で地元クラブとプロ契約を結んだが開幕直前のけがもあり、帰国。03年に引退するも17年夏に39歳で再びプロ入りを志し、18年3月に練習生を経てJ2水戸と40歳でプロ契約。出場機会を得られず19年にJ3YS横浜に移籍。同年開幕戦の鳥取戦に41歳1カ月9日で途中出場し、ジーコの持つJリーグ最年長初出場記録(40歳2カ月13日)を更新。20年限りで現役を引退し、格闘家転向を表明。22年2月16日にRISEでプロデビュー。プロ通算3勝1分け2敗。175センチ