黒柳徹子『続 窓ぎわのトットちゃん』最年長での1位に感無量 前作から42年「あれ以上のものはもう書けないと思っていた」【オリコン上半期】
◆戦中、疎開先での出来事も本書に「当時のことを思い出すのは、正直なところ少し辛かった」
――2年前に発売された前作は、昨年末アニメ映画化もされて話題を集めました。長年にわたって愛される理由は、何だと思いますか? 【黒柳徹子】 それはやはり、トモエ学園の校長先生である小林先生の教育の素晴らしさにあるのではないでしょうか。あとは、子どもたちの日々の冒険の中にある「ワクワク」は、いつの時代も変わらないということの証明だと思います。100年、200年先まで、読み継がれていってほしいです。 ――本作について「記憶の中にある戦争と戦後のことを書いた」とコメントされています。前作発売から42年がたった今、続編の執筆および映画制作に至った経緯を教えて下さい。 【黒柳徹子】 「疎開先での出来事を書いておかなければ!」と思った、その直接的なきっかけは、ウクライナの戦争でした。戦火のなか、不安そうな子どもたちの映像をテレビで観ていて、「今までにいろんなエッセイを書いてきたけれど、家族で東京から疎開したときのことは、ほとんど書いていなかったなあ」と思ったのです。日本では、実際の戦争を知っている人がとても少なくなってきましたから、私のような体験者が「戦争は罪もない子どもたちも苦しめる」ということをちゃんと書いておいたほうがいいんじゃないか、と。でも、いざ書き始めると、当時のことを思い出すのは、正直なところ少し辛かったです。 映画化の経緯としては、『トットちゃん』がベストセラーになったとき、いろんな映画監督から、「映画にしたい!」とお話をいただきました。他にも、漫画にしたいとか、舞台とかドラマとか、いろんなオファーがあったのですが、私は、(書籍の装画に使われた)いわさきちひろさんの絵がいちばんトットちゃんにぴったりだと思っていましたし、また、読者の皆さんお一人お一人の中にある「トモエ学園」のイメージを大事にしたかったので、ずっとお断りしていたんです。 でも、「『トットちゃん』でアニメーション映画を作りたい」というオファーをいただいたときは、八鍬新之介監督が原作の大ファンで、本当に深く読み込んでくださっていて、その情熱に打たれて、「この人に任せてみよう」と思えたことも大きかったです。終盤のクライマックスのシーンも好きですが、時々挟まれる、私の脳内の空想映像が特に素敵だなと思いました。