SNSはタバコ並みの害!? “警告文”表示を求める声「メンタルに深刻な悪影響をもたらす」
マーシー医務総監の指摘への受け止めは?
編集部: アメリカのマーシー医務総監の指摘についての受け止めを教えてください。 大迫先生: 商品への警告ラベルと聞くと、一般的によく連想されるのはタバコに掲示されている警告ラベルでしょう。 マーシー氏は、アメリカ合衆国保健福祉省のデータを引用して「タバコにおいては警告ラベルが意識を高め、行動を変える可能性があることを示している」としています。タバコと同様に、ソーシャルメディアにおいても注意喚起を促す効果が期待できるでしょう。 その一方、警告ラベルだけではソーシャルメディアが若者にとって安全になるわけではありません。 「オンラインでの嫌がらせ」「極端な暴力」「性的コンテンツにさらされる」などへの対策を含めて、専門家を交えた政府内外の多職種で、ソーシャルメディアをより安全なものにするための対策を検討する必要があるでしょう。
若者がSNSを利用する際に注意すべきことは?
編集部: 若者がSNSを利用する際の注意点を教えてください。 大迫先生: 現代の生活はスマートフォンやスマートウォッチなどのデバイスの使用によって、10年前と比較しても格段に便利で効率的な生活を営めるようになったと言えるでしょう。 その一方で、スマートフォンから離れる時間が減少し、その結果、睡眠・食事・社会とのつながりに悪影響が出ています。特に子どもは、メンタルヘルスに強い影響を与えてしまうことが想定されます。 マーシー氏が提言するように、家庭や学校でスマートフォンを使用しない時間を設けることが、対策の第一歩になると考えます。 また、子どもがソーシャルメディアの使用を制限されると悩むのと同様、親側も制限をすることで悩んだり、罪悪感を覚えたりすることもあるでしょう。社会全体で共通のルールを考えていくことが重要であると言えます。
まとめ
アメリカのマーシー医務総監は、ニューヨーク・タイムズへの寄稿で「“SNSには若者の精神衛生を害する恐れがある”との警告文をつけるべき」と指摘したことが明らかにしました。 日本でもSNSを巡るトラブルは起きており、今回のアメリカでの動きは注目を集めそうです。
【この記事の監修医師】 大迫 鑑顕 先生(医師) 千葉大学医学部卒業 。千葉大学医学部附属病院精神神経科、袖ヶ浦さつき台病院心療内科・精神科、総合病院国保旭中央病院神経精神科、国際医療福祉大学医学部精神医学教室、成田病院精神科助教、千葉大学大学院医学研究院精神医学教室特任助教(兼任)、Bellvitge University Hospital(Barcelona, Spain)。主な研究領域は 精神医学(摂食障害、せん妄)。
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