「おなかを壊していたけど…」最速150キロの1年生左腕が2日かけて完封達成 継続試合の勝利で甲子園に大前進
◆九州地区高校野球準々決勝 沖縄尚学5―0鹿児島実(継続試合)(30日・別大興産スタジアム) 8回2死から再開された継続試合は沖縄尚学が2点を追加して勝利を決めた。 ■甲子園近づく4強、残り3校は…秋季九州大会結果はこちらから 試合再開後、2死一、三塁として2番宮城泰成(2年)の適時三塁打で2点を追加。「今朝のミーティングで昨日以上に集中していこうという話をしました。宮城が打つのは予想してなかったけどあれは大きな2点だった。チームが沸いた」と比嘉公也監督は試合再開後の主導権を握る一打をたたえた。 1年生の左腕エース末吉良丞は継続試合という難しい状況で4安打で完封勝利をあげた。29日は雨でぬかるむマウンドでの投球で2度の満塁のピンチを招いたが無失点にしのぎ、再開後の最終回は相手の代打攻勢にも動じずに1安打で無失点に抑えた。「ホテルに帰っても集中力を切らさずに、相手の打者の動画を見たりしていました。集中力を切らさないまま今日には入れたのが良かった」と話した。この日の朝は体調が万全ではなかったが集中力を切らさず「おなかを壊していたけど、ちゃんと投げられました」としっかりと16球を投げきった。 沖縄大会では最速150キロをマークしたが「相手の打線を見て直球を捉えていて変化球に合っていない感じだったので」と球速は130キロ台に抑え変化球を使って相手打者を打ち取った。「入れるところは入れて、走者を出したらギアを上げました」と1年生らしからぬ冷静さとメリハリをつけた投球で完封勝利をあげた。「入学した頃は力で抑えていたが、今は入れるところと抜くところの使い分けができつつある」と比嘉監督も1年生左腕の成長を感じている。 左腕エースと言えばライバル校の興南のイメージが強いが、高校日本代表チームでコーチなどを務め、自身も左腕投手で甲子園優勝投手となった比嘉監督の指導を受けたいと沖縄尚学に入学。入学時は95キロあった体重が85キロまで絞られ、体にキレが出てきた。次は甲子園経験者が並ぶ西日本短大付との準決勝。「打撃が強いイメージがあるので、コースを投げ分けていきたい」と発展途上の左腕は2年前の秋の先輩たちに並ぶ決勝進出を目指す。 (前田泰子)
西日本新聞社