<95>ドラマPが高橋海人の魅力や撮影秘話を明かす「高橋さんの役に向き合う姿勢や役作りが本当にすごいなと思いました」
高橋海人(King & Prince)が主演を務めるドラマプレミア23「95」(毎週月曜夜11:06-11:55、テレ東系ほか)が、ついに6月10日(月)放送で最終回を迎える。 【写真】楽しそうに花火をする高橋海人“秋久”や中川大志“翔”たち 同作は、1995年の渋谷をがむしゃらに駆け抜けた高校生たちの熱き青春群像劇。地下鉄サリン事件を機に人生が一変する高校生・広重秋久(通称:Q)を高橋、Qをチームに誘い入れる鈴木翔太郎(通称:翔)を中川大志、翔と幼馴染でQが思いを寄せることになる岸セイラを松本穂香、明るくムードメーカー的存在の丸山浩一(通称:マルコ)を細田佳央太、翔やセイラと幼馴染の堺怜王(通称:レオ)を犬飼貴丈、レオと同じく翔、セイラと幼馴染でケンカが強い新川道永(通称:ドヨン)を関口メンディーが演じている。 このたび、WEBザテレビジョンでは同作のプロデューサー・倉地雄大氏にインタビューを実施。キャスト陣のオファー理由や、撮影の裏話などについて聞いた。 ■今この作品を実写化することの意味みたいなものをすごく読者として理解できた ――初めに、本作を制作することになったきっかけや経緯を教えてください。 きっかけは、コロナ期間中にいつもより時間ができたので、小説をいろいろ読んでいた中でこの原作を読んだんです。外出や旅行などが自粛でできなくなり、でも“コロナだから仕方がない”って気持ちに折り合いをつけて生きていたんですけど、Qや翔がルールや枠組みにあらがったりもがいたりしている姿がすごくうらやましいなって思って。 彼らは地下鉄サリン事件があって“このままでいいのか”って気付いたんですけど、僕はコロナを経てすごく共感できたというか。「ちゃんと生きる」ということについてしっかり考えないといけないんだということを、彼らを通して教わった気がしたんです。 今この作品を実写化することの意味みたいなものをすごく読者として理解できて、“こんなQや翔に会えたらいいな”とか“彼らを映像で見てみたいな”と思ったので実写化することになりました。 ■やっぱり役者として現場にいるときはちゃんとQになっているんです ――今作で主演を務めている高橋さんと、メインで出演されている中川さん、松本さんを起用した理由を教えてください。 まず、高橋さんってどこからどう見ても秋久に見えるというか。僕は高橋さんの人間性を存じ上げていなかったんですけど、彼の“不器用だけど全力でぶつかってお芝居をしている”っていう部分をドラマや映画から感じていて。 「95」はQがいろんなものにぶつかったりつまずいたりしながら人間形成されていく、というのが内容だと思うんですけど、いろんな喜怒哀楽が出てくる役を単純に高橋さんで見てみたいなって思ったのが一番の起用理由です。 “もっとこんな高橋海人さんを見てみたい”っていう思いがあったので、そういうところからQという役にすごくハマるんじゃないかなと思ってオファーさせていただきました。 中川さんはすごくいろんな作品に出ているので、気がつけばたくさん見ているんですけど、中川さんってどんな役でも自分のものにされているイメージが強くて。 今回の翔という役はバチバチのイケメンで、話す言葉も浮いたようなせりふが多かったりするんですけど、“中川さんがこういうのを言ったらどうなんだろう”とか想像していて、高橋さんと同じですが、“こんな中川大志さんを見てみたい”ってすごく思ったんです。 昔からドラマや映画に引っ張りだこで多彩な才能を持っている中川さんが、翔という役でQのことも含めて引っ張っていく立場でドラマに入ってきたときに、Qと翔の関係性がちょっと見える気がして。高橋さんと中川さんが軸にいる「95」というのを見てみたくなったんですよね。 松本さんもそんなに起用理由は変わらないのですが(笑)。彼女はものすごく繊細なお芝居ができる役者さんというイメージがあったんです。オファーさせていただいて、実際にセイラという役をやっていただいてもその通りというか、それ以上にお芝居の繊細さがあってすごくうまい方だなと思ったりしているんですけど、高橋さんも中川さんも松本さんも、第1希望のキャスティングができたので、本当によかったなと思っています。 ――高橋さんは最初にオファーしてからOKをいただくまでに約1年弱かかったんですよね? そうですね。いろんな事情とかがあって時間はかかったのですが、最終的にはこちらの熱意をちゃんと理解していただいて。 正直、アイドルという職種と「95」というドラマの組み合わせってイメージがかけ離れていると思うんです。酒やたばこ、キスシーンなどもあって。でもそういうことに対して、この作品をやるっていうことが今後の高橋さんの俳優人生において大事であると感じていただいたんだと思います。 高橋さんって間近で見ていて一番すごいなって思うのが、役になりきれるところというか。King & Princeのライブとかを見させていただくとすごくキラキラしているんですけど、やっぱり役者として現場にいるときはちゃんとQになっているんです。 このQという役は彼がかもし出す“童貞感”みたいなものをどう出すか、というのが物語の説得力にもつながっていた部分だと思うので、そこは高橋さんの役に向き合う姿勢や役作りが本当にすごいなと思いましたね。 ■入念なリハや彼らの身体能力の高さなど諸々が組み合わさってできたんだなと ――松本さん演じるセイラが第3話(4/22放送)で制服のままプールに飛び込むシーンもとても印象的で話題になりましたが、このシーンの撮影はどんな感じでしたか? そんなに何テイクも撮ったわけではなく、わりとスムーズにできたのですが、水中だとどうしても人間ってすぐ浮いてきちゃうんですよね。なので実は、カメラに見えない所で重しを持っていたりして。その水の中で浮いてる表現が結構難しかったです。 ちなみに、第5話(5/6放送)で秋久とセイラがラブホテルに行くシーンがありましたが、そこで秋久がシャワーを浴びているときに、水の中で見たセイラを思い出すっていうのを入れたいと監督の城定(秀夫)さんが結構最初から話していて。 水中のキラキラした中で見えるセイラを秋久的にも印象付けたいというのは最初から言っていました。なので、多くの方から印象的だったという声をいただいたというのは、城定さんの狙い通りだったのかもしれないですね。 ――本作ではケンカのシーンが多く登場しますが、皆さん結構練習されたのでしょうか? そうですね。高橋さんは11月末頃からアクション練習していますし、中川さんも12月から始めていて。まず皆さんがどれくらい動けるかということや、役にあったアクションってどんな感じだろう?…みたいなことをインする前もそうですし、インした後も撮影の空き時間とかにアクション部を呼んで話し合ったりしていました。 最終回に向けてどんどん激しくなっていくんですけど、勝矢さんたちが演じるキューティーハニーと呼ばれる暴走族の人たちとアクションするシーンの稽古みたいなものを結構細かくやったりしましたね。 アクションシーンってすごく大変で撮影に時間がかかるんですけど、撮りこぼすことなくスムーズにできたのは、入念なリハや彼らの身体能力の高さなど諸々が組み合わさってできたんだなと。本当に皆さん上手でしたし、ケガもなくできてよかったです。皆さんすごく真面目に何回も練習してくださる方だったので、ありがたかったですね。 ■人間って生きていると必ずまっとうに生きていられるわけではないと思うんです ――ドラマでは思わず目を背けたくなるような生々しいシーンなどもありますが、その辺りのこだわりを教えていただけますか? この小説の魅力的な部分って「きれいなだけじゃない青春」にあると思っていたんです。なので、そういうことをやりたいと原作の早見(和真)さんにも伝えていましたし、監督の城定さんも青春モノをやりながらどこか気持ち悪さが匂うような撮り方が上手だなと思っていたので城定さんにお願いしたりしていて。 高校生なので、道を踏み外すのも含めて青春っていうのを生々しくやりたいなという思いがありました。なので、ケンカも生々しいですし、宝来(鈴木仁)と淳子(桜井日奈子)の濡れ場や、Qがセイラの唇を無理やり奪うシーンなど、目を背けたくなるシーンも多いと思うのですが、人間って生きていると必ずまっとうに生きていられるわけではないと思うんです。 ドラマってどちらかというとすべてがきれいに描かれていることが多いと思うんですけど、この作品ではそういうきれいなものだけではないというのをやれたらいいなというのは最初から思っていました。目を背けたくなると思いますが、目を背けないで見ていただけたらいいなと(笑)。 ■音楽って当時を思い出すのに一番わかりやすいツールだと思っている ――本作の舞台は1995年ということで、ドラマの中でも懐かしい音楽やファッション、街並みなども登場しており、当時を知っている世代は「懐かしい」と感じますし、知らない若者たちからは「新鮮だ」という声が多くありますが、その辺りはどのようにこだわって作っているのでしょうか? 95年をどこまで95年っぽく見せるか。もちろん95年の渋谷で撮ることはできないので、完全再現はできないんですけど、何となく懐かしい雰囲気がしたり、90年代っぽかったり…。そういうのが匂ってくる世界観にはしないとダメだなとは最初から思っていたので、その世代の城定監督と脚本の喜安(浩平)さんにお願いしたというのもありました。 撮影では役者が95年の高校生として集中できるように、なるべく現代物が写らないように工夫したりとか、ファッションやメイク、小道具などもですが、音楽って当時を思い出すのに一番わかりやすいツールだと思っているので、音楽にもすごくこだわりました。 あとは95年の話なので、ちょっと色味がフィルムっぽいというか、そういう部分もカメラマンと監督で相談して調整していただいたりしています。 ――中川さんの薄い前髪のヘアスタイルもすごく似合っていますよね。 カッコイイですよね。監督も青春時代が95年前後だったりするので、衣装合わせのときに、なんとなく“90年代ってこんな感じだよね”っていうのをみんなが想像できるようにしようとしていて。 かといってダサくするのは違うと思っていて、90年代のファッションを彼らがやることでかっこよくなるというか、そういうニュアンスになるといいなという話はわりと最初の段階からしていました。 なので、中川さんの薄い前髪もすごくカッコイイですけど、きっとイケメンに限るっていうやつです(笑)。 ■最終回はこれまで描かれてきたものの集大成が全部詰まっています ――もともと高橋さんと中川さんは高校の先輩・後輩だったとのことで、クランクイン前からすごく仲がよさそうでしたが、撮影現場の雰囲気などはいかがでしたか? まず皆さんすごく仲がよくて。みんなで集まって一緒にオンエアを見たりしているらしいので、それくらいすごく仲がいいんですよね。 僕がキャスティングするときは高橋さんと中川さんが高校の先輩・後輩だって知らなかったのですが、高橋さんと細田さんも「ドラゴン桜 シーズン2」(2021年TBS系)で一緒だったし、中川さんと松本さんはCMを一緒にやっていたりとか、あれだけ実力のある方々だと何かしらでご縁があったりするので、「95」の撮影が終わってからも皆さんの仲がいいというのはすごくうれしいですね。 ――最後に、最終回に向けての見どころや注目してほしい部分を教えてください。 すごく不器用な彼らの答えみたいなものが最終回で描かれます。もちろんアクションシーンは見どころですし、5人が最後にみんなで花火を見られるのか…ということや、この大みそかを経て96年を彼らはどう生きるのか…ということ、また現代パートで安田(顕)さんと桜井(ユキ)さんが95年という時代を経た彼らに何を思うのか…といったことなど、これまで描かれてきたものの集大成が全部詰まっています。 5人がケンカの末に何を思うのか、このドラマの最後としては、すごくいい終わり方な気がしています。暴力的なシーンが多かったり、こんなドラマじゃなかったと思ったりする人もいるかもしれないですが、最後までぜひお付き合いいただけたらうれしいです。 僕はこんなに俳優魂を見せてもらったドラマってあんまりないと思っているので、等身大の彼らが全力で演じた作品を最後まで皆さんに見届けていただけたらありがたいですね。 ※高橋海人の「高」は正式には「はしごだか」