『虎に翼』で考える”生きづらさ”の解決策、鍵を握るのは「100年先」への積み重ね
生きづらさ解決の鍵は「100年先」
今生きづらさを訴えたところで突然何かが変わるわけではない。そもそも誰に訴えたらいいのかも分からない。それでも、100年先ならば何か一つでも変わるかもしれないと希望を持つことはできる。そのためにはもっと自分と他人の生きづらさに敏感になった方がいいだろう。寅子は「自分の生きづらさに異様に鈍感」タイプな気がしているが、隣にいたのが「人の生きづらさに異様に敏感」な優三だったことが唯一の救いだったはずだ。 寅子が生きる時代では、残念ながら「女性弁護士の誕生=女性弁護士の活躍」には至らなかった。試験に受かることすら男性よりハードルが高く、受かったとしても変わり者扱いされたのが現実だ。だがそこで寅子たちが踏ん張ってくれたからこそ、100年後の今、女性弁護士は当たり前に存在するようになった。 主題歌の『さよーならまたいつか!』の一節「さよなら100年先でまた会いましょう 心配しないで」…これこそが100年前の時代を生き抜いてくれた寅子たちからのメッセージであり、私たちが後世を生きる人たちに伝えるべきメッセージなのではないだろうか。私たちが今できることは、100年先に投資するつもりで「明日」という直近の未来の生きやすさを積み重ねていくことなのだ。 今抱えている生きづらさはすぐに解決することはない。だが、生きづらさを抱えているのは自分だけじゃないと確かに分かる。明日も何とか生きてみようと思える。そう思わせてくれたことへの、称賛と安堵のため息なのである。
音月 りお