健康保険証を忘れた! 突然の子どもの体調不良で県外で自費診療を受けたとき
子どもの突然の熱やけが……子どもは大人に比べて体調を崩しやすく、旅行中や帰省中でも起こる可能性があります。都外・県外へ旅行中に子どもが体調不良になり、健康保険証を忘れてしまった場合は自費診療となります。 この医療費、戻ってくるのでしょうか? 今回は、このような時に請求できる「療養費」のお役立ち情報をお伝えします。
健康保険証を忘れても大丈夫!
2023年は猛暑が続いた後、いきなり冬の寒さを感じるような気温の変動が激しい日々が続いています。そのせいか、大人も子どもも体調不良な方が多くいらっしゃることでしょう。特に子どもは、急に体調を崩したり、けがをしたりして、出先で医療機関を探して慌てて受診することもあるかもしれません。 原則として医療機関を受診するときには、健康保険証を持参し、医療費の3割を支払うという「現物給付」の形をとります。 ただ、以下の場合など、保険診療を受けるのが困難な時、もしくはやむを得ない事情のため、保険診療が受けられない医療機関で診察や手当を受けたときには、いったん全額を支払い、あとで自己負担分を還付してもらうという方法もできます。どんな場合に、この「現金給付」がされるのか見ておきましょう。 (1) 事業主が手続き中で、まだ健康保険証が交付されておらず、保険診療が受けられないとき (2) 感染症予防法により、隔離収容された場合で、薬価を徴収されたとき (3) 療養のため、医師の指示により義手・義足・義眼・コルセットを装着した時 (4) 生血液の輸血を受けたとき (5) 柔道整復師等から施術を受けたとき (出典:全国健康保険協会「5)療養費」) 学校の修学旅行やキャンプなどの学校行事で、持ち物に、「健康保険証の写し(コピー)」と書かれたしおりの存在を思い出した方もいるかもしれませんが、保険診療を受けるためには、原則として写しではなく原本が必要となります。
どうやって療養費は受け取れる?
出先で受診したことのない医療機関で受診し、全額を自己負担した時には、医療機関で普段支払っている自己負担3割(2割の場合もあり)ではありませんので、あとの7割(8割の場合あり)部分を「療養費」として還付してもらう手続きが必要です。 まず、健康保険証の「保険者」の欄を確認してみましょう。協会けんぽ(全国健康保険協会)や○○健康保険組合、○○市国民健康保険など、健康保険の加入先によって、請求先が異なるからです。 療養費の請求をする際には、それぞれの保険者によって多少様式は異なりますが、最近はホームページからダウンロードできる場合も多いです。 記載例もあげられていることも多いので、それを見ながら記入していきますが、請求するときには添付書類も忘れないようにしましょう。医療費を支払った時には、「領収書」と「診療明細書」が必要です。コピーではありません。 マイナンバーについては、被保険者の記号番号を記入した場合には記入不要です。マイナンバーを書くと身元確認書類も必要になるので、請求する際には、健康保険証の記号番号をしっかりと確認して記入しましょう。 ちなみに、この療養費には時効があります。医療機関等に医療費を支払った日の翌日から2年ということで、すぐに請求する必要はありませんが、忘れないうちに速やかに申請するようにしましょう。 また、児童医療費助成制度の対象で自己負担がない場合などでも、この医療証が都外や県外で利用できないこともあります。その場合には、いったん通常の自己負担分を支払って、あとで自治体の役所の給付担当に自己負担分を請求します。 出先で子どもがいつもと異なる医療機関等に受診すると、すべて自己負担となる可能性を考えて、旅行や帰省の際には少し多めに現金を準備することも必要かもしれません。