市長選に立候補表明した市議にハラスメント 議長「進言のつもり」
新潟県糸魚川市議会の松尾徹郎議長(68)は8日、市長選に立候補を表明した伊藤麗議員(34)へのハラスメントが議会で認定されたことを理由に、議長を辞任する考えを表明した。松尾氏は伊藤氏が立候補を表明した際は同じ会派で、他の所属議員2人とともに伊藤氏に対し、「まだ若く、研鑽(けんさん)を積むべきだ」「立候補するなら会派を離脱すべきだ」などと求めたとされ、これがハラスメントに当たると認定された。 8日の市議会全員協議会で、松尾氏は「進言のつもりがこのようなことになってしまい、心からおわび申し上げたい」と陳謝し、市議会12月定例会初日の12月2日で議長を辞任する考えを示した。他の2人の議員も議会運営委員長と同委員の役職を辞任する。いずれも議員活動は続けるとしている。 同市議会は今年3月、「市議会ハラスメント防止条例」を議員提案で成立させた。条例では、個人の人格や尊厳、職務環境を害する行為をハラスメントと定義し、議会による調査でこうした行為が確認されれば、議長が指導や注意などを行うと定めた。 市議1期目の伊藤氏は今年5月、来春に任期満了を迎える市長選への立候補を表明。その後、会派から「事前の相談がない」などとして離脱を求められたことを把握した別の議員が、ハラスメントの疑いがあると議会に申し入れた。議会は議員らによる調査チームを立ち上げて当事者らから聞き取りなどを進め、ハラスメントに該当すると9月に議会運営委員会に報告した。伊藤氏は6月に会派を離脱していた。 伊藤氏は全員協議会閉会後、取材に対し、「重い決断をされたと受け止めている。しかし、事実関係の検証や再発防止に向けた取り組みは不十分だ」と語った。(戸松康雄)
朝日新聞社