かつて400人→今は15人 、伊豆長岡の芸妓衆が稽古公開
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静岡県伊豆の国市の伊豆長岡温泉で、芸妓たちの稽古が有料(500円、茶菓子付き)で公開された。普段、なかなか見ることが出来ない芸妓の稽古だけに、近隣から多くの人が見学に訪れ、約1時間の稽古を熱心に見守った。
見学は温泉街にある伊豆長岡見番で行われた。見番は、芸妓たちの事務所や稽古場として使われている場所。かつては各地に存在したが、今では伊豆でも伊豆長岡と熱海に残るだけという。伊豆長岡見番はかつて、芸事を磨く場として芸妓学校を運営していたこともあった伝統的な見番。建物の入口には、今も「静岡県芸妓学校」の看板が掲げられている。現在は伊豆長岡芸能事業協同組合(笠谷さざ子代表理事)の事務所でもある。伊豆長岡見番の木造建物は、大正末期から昭和初期に建てられたものとみられ風情たっぷり。 見番での稽古では、ベテラン芸妓衆が、長年、日本舞踊の教えを受けている花柳流師匠の花柳衛彦さんの指導のもと、君が代松竹梅、越後獅子などの長唄に合わせて踊りを披露した。演目によっては、93歳という桃千代さんが三味線と長唄で加わり、艶やかな唄を披露して芸妓の踊りを引き立てた。見学者は沼津や御殿場など静岡県内近隣から訪れた人が多く、ほとんどが年輩の女性。ある女性は「温泉に入りに時々くるが芸者さんは呼べないので、どんな様子か見にきました」と話していた。また、別の女性は「自分も音楽をしているので、分野は異なりますが、どんな稽古をするのか興味があって見にきました」と話していた。
伊豆長岡温泉には、かつて400人の芸妓がいたが、現在は15人まで減少している。例年、伊豆の国市観光協会が主催して7月に開催されている「源氏あやめ祭り」に出演してきたが、昨年は同祭への出演もキャンセルしたという。 そんな環境にありながら、芸妓本来の芸を見てもらおうと、伊豆長岡芸能事業協同組合が自ら舞台を企画。「伊豆あやめ座―華の宴―」と題して2月25日(土)、26日(日)の両日にわたり伊豆の国市の韮山時代劇場で公演を行う予定で、稽古を有料で公開したのも2月の公演に向けたデモンストレーションの意味があるようだ。 稽古の有料公開は2月も開催する予定だという。稽古の有料公開や「伊豆あやめ座―華の宴―」のチケット予約などに関する問い合わせはいずれも伊豆長岡見番(電話055-947-1355)まで。