日本の職人による究極の手仕事を世界へ! 伝統技術ディレクター、立川裕大が仕掛ける〈AMUAMI〉とは。
日本のものづくりを編集し、優れた職人の手仕事を世界に向けて発信することで「職人文化の継承と発展を目指す」プロジェクト〈AMUAMI(編阿弥)〉。今回ファーストコレクションとして発表された16のプロダクトとその製作背景を紹介します。 「この人にしかできない仕事、そこにしかないもの。土地の素材、自然を知り尽くした手が折々の環境の中で一分の隙もない仕上げに向かって動く」。そんな職人の技にずっと魅了されてきたという立川裕大。伝統技術ディレクターとして長年、名だたる建築家やインテリアデザイナーたちの求めに応じ、日本各地の伝統的な素材や技術を有する職人を見出し、オートクチュール製作の家具や照明、アートオブジェなどを手がけてきた。 そんな彼が立ち上げた〈AMUAMI〉とは、日本のものづくりを編集するミドルウェア(パソコン用語でOSとアプリケーションを橋渡しするソフトウェアを指す)だという。職人の技術という一つの優れたものを選び出すだけではなく、一見結びつかないもの同士を掛け合わせ、重ね合わせ、互いに競わせ、シリーズに束ねるという、日本古来の文化芸術の根底にあった編集方法“アワセ、カサネ、キソイ、ソロイ”を現代に甦らせるプロジェクトだ。
「このままでは一流の職人たちが腕を振るう機会が無くなってしまう」。このような危機感が立川の〈AMUAMI〉を立ち上げるきっかけとなった。古からの日本に存在した公家、武家、宗教界など、いわゆる職人を支えるパトロン文化が衰退したことがその原因だ。これまでの仕事を通して職人、技術、素材、デザインの知識、日本の美意識、日本人の心など、もの作りに必要な全ての編集を手がけ、各地の職人たちとの強力なネットワークを築いてきたという立川。そんな彼にとって編集というリミックスの手法を用いた職人たちとのコラボレーションはすぐにでもスタートできる解決策だった。 時には足繁く現地へと通い、職人たちと協議し合うという共同作業により理想のフォルムを描き出す。シルクのシェードとシルクの真田紐を合わせた「絹あわせ」、ガラス(モダニズム)に漆(侘び寂び)を重ねた「石英」、箱という同じフォーマット上に組子や彫刻、螺鈿、石材加工の職人を競わせた「玉手箱」など、7つのアプローチを揃えたコレクションが誕生した。