【スプリンターズS】「高松宮記念10着以下」をあえて狙うべし データで導く穴馬候補3頭
「古馬重賞で連対した3歳馬」は買い! ピューロマジック
2頭目は3歳の快速馬ピューロマジック。葵S、北九州記念と逃げて連勝したが、セントウルSで13着と敗れたことにより、やや評価を落として本番を迎える見込みだ。 過去10年の当レース(14年の新潟開催含む)において、3歳馬の成績は【1-2-1-16】複勝率20.0%、複回収率98%。悪くはないが、特段よくもないように見える。ただ、これは世代限定戦の実績しかない馬が数字を下げているもの。「古馬(3歳以上)重賞で連対したことがある馬」に限ると【1-2-1-7】複勝率36.4%、複回収率178%までアップする。年長馬と渡り合えることを証明済みの3歳馬は穴として面白い。 ピューロマジックは北九州記念が前後半32.3-35.6の超ハイペース逃げで、後続にも脚を使わせて押し切る内容だった。一方のセントウルSはレースラップで前後半33.6-34.1と、打って変わって他馬を引き付けるスタイル。結果から言えば、こういう質の逃げ方が合わなかったのだろう。 中山芝1200mはスタートから下り坂。ビュンビュン飛ばして持ち味を生かせば、ラスト200mの坂で鈍っても残り目はある。
芝1200mは香港馬強し! ムゲン
最後は香港短距離界からの刺客ムゲンをピックアップする。前走で軽ハンデにも恵まれて初めて重賞(GⅢプレミアC)を勝ったばかりだが、強気に日本遠征を敢行してきた。 「スプリント大国」とも言われる香港競馬はその異名にたがわず短距離馬の層が厚い。しばしばJRAにも遠征してきては、日本馬相手に互角以上の戦いを見せてきた歴史がある。 1986年以降のJRA芝1200m重賞において、香港調教馬の成績は【3-2-2-13】勝率15.0%、複勝率35.0%、単回収率189%、複回収率146%。機械的に単複を買うだけでプラス収支だった。 特にアツいのは「日本初出走」のレースで【2-2-2-5】勝率18.2%、複勝率54.5%、単回収率325%、複回収率255%とインパクト大の数字だ。日本のファンに名が売れていない状態の方が馬券妙味にも富んでいる。 ……という話を高松宮記念の時にも紹介したところ、ビクターザウィナーが5番人気3着ときっちり結果を出した。同じパターンをムゲンにも期待しよう。 今春に行われたチェアマンズスプリントプライズでは3着。高松宮記念上位馬のビクターザウィナー(7着)、マッドクール(11着)に大きく先着している。アウェーでの戦いになるが、能力的には本邦の一線級ともヒケを取らない。 <ライタープロフィール> 鈴木ユウヤ 東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。
鈴木ユウヤ