【飯塚事件】2度目の請求でも再審は認めず 裁判長「証言は信用できない」 弁護団「死刑制度の根幹を揺るがしかねないという思惑に縛られた」 福岡地裁
FBS福岡放送
32年前、福岡県で女の子2人が殺害されたいわゆる「飯塚事件」。すでに刑が執行された久間三千年(くま・みちとし)元死刑囚の妻による2度目の再審請求で、福岡地裁が出した決定は。 ■東まどか記者 「請求棄却です。再審請求が棄却されました。」 再審、裁判のやり直しを「認めない」というものでした。 この事件は1992年2月、飯塚市の登校途中の女の子2人が何者かに誘拐・殺害され、福岡県内の山中に遺棄されたものです。 警察は、事件から2年7か月後の1994年9月、久間元死刑囚を逮捕しましたが、本人は一貫して犯行を否認。裁判でも無罪を主張しました。 ■久間 三千年 元死刑囚 「やっていないものをやったと思われたことだけは、 これは白黒必ずつける。」 自白も、犯行を裏付ける直接証拠もない中、一審の福岡地裁は複数の状況証拠の積み重ねで有罪となり、2006年9月、最高裁で死刑判決が確定しました。 2年後に死刑が執行されました。 2度目の再審請求で争点となったのは、事件当日、飯塚市の三差路で女の子2人を最後に目撃したとされた女性の新たな証言です。 ■女性の証人尋問より 「女の子を見たのは事件当日ではない。それを見たという供述調書に強引にさせられた。」 去年11月の尋問で、女性は確定判決の根拠の一つとなった当時の供述内容を、みずから否定したのです。 しかし、福岡地裁は5日、女性の証言について「捜査機関が無理に女性の記憶に反する調書を作成する動機、必要性は見いだせない。女性の証言は信用できない」などとして、再審請求を退けました。 ■飯塚事件弁護団・徳田靖之弁護士 「この証言の価値を認めて再審を開始することが、我が国における死刑制度の根幹を揺るがしかねないという思惑に縛られて、人間としての良心に基づく貴重な証言の価値を認めようとしなかった。」 弁護側は即時抗告し「再審開始を目指して戦い続ける」としています。
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