脚本家・橋部敦子が初チャレンジ、リーガルエンタテインメントでも期待に違わぬ〝異色ぶり〟発揮 フジテレビ月10「モンスター」
【TV視てますか?】 フジテレビの月10ドラマ「モンスター」(関西テレビ制作)には意表を突かれた。 橋部敦子のオリジナル脚本。リーガルエンターテインメントだが、おそらく橋部にとって初チャレンジではなかろうか。4話まで見たが、さすがプロ中のプロ、アウェー(?)をものともせず、期待にたがわぬ〝異色ぶり〟を発揮している。 なにしろ、4話に至るも、趣里ふんする主人公に関する人物情報が極端に乏しい。初回の冒頭、弁護士事務所に現れ、訪問理由を問われて一言、「弁護士をやってみることにしたんで」。高校3年生で司法試験に一発合格していること、所長(YOU)とは10年ぶりの再会であることは分かったが、普通に彼女が何者なのかを本作はなかなか描いてくれない。 「虎に翼」「ブギウギ」もからんで 描き方も異色だが、そもそも高3で司法試験に受かる人物というキャラ自体がとてつもなく異色。NHK朝ドラ「虎に翼」の優三(仲野太賀)は高等試験に落ち続け、弁護士になれなかった。合格した妻の寅子(伊藤沙莉)は法服を着て裁判長席に座っていた。趣里はといえば、その前の「ブギウギ」でブギの女王・福来スズ子。寅子はスズ子のいるUSK(梅丸少女歌劇団、OSK日本歌劇団がモデル)に入りたかったのだが、ひょんなことから法曹の道に進み、本作の趣里が「やってみることにした」のが弁護士。ただし、ゲーム感覚で。 パラリーガル(宇野祥平と音月桂)が夫婦という設定もきわめて異色。〝パラリーガル夫婦のいる弁護士事務所〟が重要な意味をもつ展開が待っているのかも。そういえば、宇野は「ブギウギ」でスズ子の生家(銭湯)の住み込みだった。音月はOSKならぬ元宝塚。 ともあれ、社会派ヒューマンドラマの名手ゆえ、ハラスメントをはじめとするホットなテーマを、1話完結で掘り下げ、毎回、アッと言わせる法廷場面は圧巻。序盤は案件優先だったが、中盤から終盤の展開は、さて? それと、初回ラストのカウンセラー(美波)の表情に代表される「モンスター」なるものとは? (新橋のネクタイ巻き)