金沢城の石垣、新年度から積み直し 県、回収終え着手へ
●崩落の全864個、元の位置特定 石川県は、能登半島地震で崩落した金沢城公園の石垣について、新年度に積み直しに着手する方針を固めた。5日までに崩れ落ちた5カ所で戸室石など石材計864個の回収を完了し、県金沢城調査研究所の分析で石材の元の位置をおおむね特定した。崩れただけの石材については3~5年以内に作業を完了させたい考えだが、変形した石を元通りにするには時間がかかると見込まれ、完全復旧には少なくとも15年程度を要するとみられる。 金沢城の石垣は昨年1月1日の地震で、江戸から昭和にかけて積まれた28カ所で被害が出た。崩落や変形、傾き、上部の地面のひび割れなどが確認され、このうち崩落した5カ所を先行して復旧する。 県は、地震後に散乱した重さ8キロ~1トンの石材864個を回収した。内訳は本丸南石垣が最も多い453個で、石川門前土橋石垣200個、本丸北石垣126個、玉泉院丸南石垣78個、尾坂門北東石垣7個と続いた。 県は現在、いもり堀園地に集めた石材を移して測量を進めており、今月中にも作業が完了する見通しという。 県によると、文化財の石垣はそっくり元通りにする必要がある。強度も求められることから、積み直しの工事は長期化が避けられない見通し。このため県は新年度、いもり堀園地に見学路や解説板を整備し、来園者が崩れた石材を間近で見学したり、触れたりできる環境を整える。文化財の価値を周知するとともに、復旧状況の情報発信に取り組む。 金沢城公園では3月、金沢城復元の「総仕上げ」となる二の丸御殿の起工式をが行われる予定で、県は復旧と復元を並行して進める。能登半島地震では、兼六園でも2カ所で石垣が崩落しており、県は遅くとも2028年度までの復旧を目指す。