外苑前「CENSU TOKYO」──洗練されたエスニック料理がやってきた。特集「東京グルメトレンド」
アジアや中南米などの民族文化に由来する“エスニック”。フレンチや和食の技法を使い、エシカルやサステナブルの視点を取り入れることで進化を続けている。今回は外苑前の新星、「CENSU TOKYO」について。 【写真を見る】CENSU TOKYOの料理をチェック!
香港発・和ダイニングが東京を席巻
世界で和食がブームとなっているのは周知であろうが、香港で行列が絶えないジャパニーズ・レストランが日本へ凱旋して初出店。白木格子のルーバーに暖簾は“純ジャパ”な雰囲気だが、大きく切られたL字カウンター内のキッチンでは英語が飛び交い、店内のBGMはハウスからヒップホップ、アンビエントまでノージャンル(しかもボリューム大きめ)。カウンターに並ぶ客にも外国人が多く、一瞬、自分がエトランゼになったような浮遊感を味わえる不思議な空間だ。 しかし、その料理はあくまでも骨太で本格的。海外生活の長い金須郁幸シェフはフレンチと日本料理の技法をベースに、チャイニーズほか各国の料理を取り入れたフュージョンを提案。どれも見た目のインパクトは強いが、“映え”を意識した中身の薄い料理ではなく、一本筋の通った味わいに良い意味で裏切られることになる。 たとえば帆立の出汁で炊いたパエリアにパリッと香ばしくローストしたチキンをのせた「海南チキンパエリア」、見た目は春巻だが食べて驚く、その名も「チーズバーガー?」など、どれも最初からこういう料理だったのではと思わせる自然な完成度。イノベーティブなレストランでしばしば出遭う「これはなんだ?」と考えさせる料理とは、一線を画す。 香港で生まれたレストランで供されるフュージョン料理が東京の今の気分にピタリとハマる一夜、つくづく世界は小さくなり、面白い時代がやってきた、と思う。 ■センス トーキョー 住:東京都渋谷区神宮前2-12-9 営:18:00~23:00(フード 22:00LO、ドリンク 22:30LO) 休:日・月曜、そのほか不定休あり(詳細はInstagramを参照) TEL:03-6434-5883 instagram.com/censu_tokyo
文・秋山都 写真・長野陽一 編集・岩田桂視(GQ)