台風10号去ってなお悩ませる新学期 倒木多い山間部走る通学列車は運転見合わせ 停電で冷蔵庫使えず非常食が給食に
台風10号の影響で鹿児島県内では1日、一部鉄道の不通が続いた。JR九州指宿枕崎線の山川-枕崎間は倒木の影響で新学期を迎える2日も再開できず、通学に使う高校生らは早期復旧を願った。停電が長引き、普段の食材を給食に使えなくなった地区の学校は代替食の準備に追われた。 【写真】(別カット)始業式後の給食に出される非常食「救給カレー」=1日午前、南さつま市加世田津貫の市学校給食センター
指宿高校にJRで通う娘を持つ、南九州市頴娃の農業男性(51)は、路線の一部区間で運転見合わせが続くため、新学期が始まる2日から車で送迎する。農作業の合間を縫って片道35分。「仕方がないが何日も続くと負担は大きい。早く復旧してほしい」 JR九州広報部によると、山川-枕崎間は倒木が多く、撤去作業や安全確認に時間がかかっている。代替手段として、3日からバス運行を検討している。 鹿児島線の川内-伊集院間は2日、運行を5日ぶりに再開する見通し。鶴丸高校の1年生女子は薩摩川内市から鹿児島市へ通学しているという。不通だった8月30日は渋滞もあって、両親の車で片道4時間ほどかかったと話し「慣れた列車で行けたらいい」。いちき串木野市から鹿児島線と指宿枕崎線を乗り継ぐ女子専門学校生(18)は「列車が動くか気になっている。運休すれば休むしかない」と心配した。 南さつま市の小中学校・義務教育学校12校では、給食に影響が出た。市学校給食センターがある同市加世田津貫では停電が31日まで続いたため、冷蔵庫が使える見通しが立たず、市教育委員会は通常の食材納入をキャンセルした。
2日の始業式後の給食には、備蓄していた非常食「救給カレー」を出す。児童生徒約2210人分を含む計約2500食。1日は職員が学校別に仕分けされたパックをチェックした。 同センターの南正一郎所長(57)は「非常時への備えが役に立った。子どもたちに給食を無事届けられそう」とほっとしていた。
南日本新聞 | 鹿児島