「次々薬局が潰れる…」オンランで薬を受け取れる「Amazonファーマシー」がスタート 医師の懸念点とは
7月23日、アマゾンジャパンは新サービス「Amazonファーマシー」を開始した。同サービスは、オンライン上で登録薬局の薬剤師による服薬指導を受けたうえで、処方薬を自宅か、最寄りの薬局の店頭で受け取れるというサービスだ。 【写真】アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス 「アマゾンジャパンは、オンライン診療アプリ『CLINICS』を展開するメドレーのほか、大手薬局チェーンであるアインホールディングス、ウエルシアホールディングス、クオールホールディングス、新生堂薬局などと連携しており、全国41都道府県にある約2500店舗で利用できます」(経済誌記者) タイパが最重要視される現代社会にとって、わざわざ薬局に出向く必要がなく、診療から薬まですべてをオンラインで済ませられる画期的なシステム――。 だが、これに戦々恐々としているのは、薬局の経営者たちだ。 「そもそも、現在多くの薬局が経営難に苦しんでいます。現在、日本では年間8億枚を超える処方箋が書かれていますが、全国にある薬局数は約6万軒。コンビニより多いのです。その多くは、中小規模で倒産する薬局もありますし、大手調剤薬局チェーンに買収されるケースも増えています」(都内の薬剤師) そんななか、アマゾンのサービスが始まる――。 「アマゾンのサービスでは、まずアマゾンと提携している薬局の中から選ぶところから始まります。どうせ薬自体は配送されるので、わざわざ中小規模の薬局を選ぶことはないし、そもそもアマゾンと提携していない場合はごっそり客を取られることになるでしょうね。大手の薬局が有利になるのは間違いなさそうです」(同前) 五良会クリニック白金高輪理事長・五藤良将医師は、このサービスが与える影響についてこう語る。 「まずは路面にある小さな薬局が大打撃を受けるでしょうね。そして次に病院やクリニックのすぐとなりにある、いわゆる“門前薬局”も次々撤退するかもしれません。現在、国の方針で“医薬分業”がすすめられています。病院で処方箋を受け取り、わざわざすぐ隣の薬局で薬を受け取るのはそのためです。 しかし、もし門前薬局が撤退してしまうと患者さんは薬を受け取ることができなくなってしまいます。地域医療が衰退する可能性もありますね。とくに高齢でネット・スマホを使いこなせない方は、益々不便になりますし、場合によっては薬を受け取れないリスクまで生じます。 また、震災や災害などでネット障害、物流障害が生じると門前薬局、路面薬局が少ない状態では、大規模な“医療難民”が生じることになり、そういった想定も政府としてどう考えているのか疑問です」 逆に言えば、今ではかなり少なくなってきた“院内処方”が進む可能性がある。 「私はすでに、風邪や胃腸炎などの急性一般疾患のための薬は、院内で処方しております。たとえば10錠の解熱剤を受け取るために、わざわざ院外に行ってもらうのは申し訳ないですからね。こういう形で、院内処方と院外処方を使い分ける必要がますます出てくるかもしれません」(五藤医師) 薬局大戦争がはじまる!
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