人間の手で持ち込まれ人間の手で…苦節20年超 奄美大島で「マングース根絶宣言」
農作物を荒らすネズミや猛毒のハブを駆除するため、日本に持ち込まれた『マングース』ですが、3日に奄美大島での根絶が宣言されました。アマミノクロウサギなど在来生物を襲うようになり、駆除が続けられていました。
■環境省「世界的にも例がない」
鹿児島県・奄美大島でマングースの駆除を担当してきた後藤義仁さん(49)。感慨もひとしおです。 奄美マングースバスターズ 後藤義仁隊員 「ついにこの日がという思い。奄美大島とマングースの物語はいったん終了なので、とてもうれしい。関わってきた人たちの悲願が達成できた」 対策から20年以上。3日に行われた環境省の会見では…。 環境省自然環境局 植田明浩局長 「環境省として、ここに奄美大島における特定外来生物フイリマングースの根絶を宣言いたします。何よりも多くの市民・島民に支えられて、きょうの画期的な日を迎えられたと思う。本当にありがとうございます。おめでとうございます」 環境省は、有識者検討会で科学的にマングースの根絶が確認されたとして、正式に“根絶宣言”を発表しました。 環境省奄美群島国立公園管理事務所 阿部愼太郎企画官 「1999年に環境省に転職しました。転職したのは基本、マングースをどうにかしたいと思ったから。それだけです」 環境省自然環境局 植田明浩局長 「駆除の技術、血と涙で改善をして技術開発してきた。この世界的にも他に例がない類がない根絶の事業が達成できた」
■ハブ駆除のため沖縄→奄美に
外来種のマングースは、1870年代から世界で農業被害の対策として導入が進めらていて、日本でも1910年に沖縄へ持ち込まれました。当時の東京帝国大学教授・渡瀬庄三郎氏が、沖縄を悩ませていた野鼠やハブによる被害を防ぐと期待してのことです。 奄美大島には1979年に約30匹が放たれました。農業被害を防げるかと思われましたが、そうとはいきませんでした。夜行性のハブに対して、マングースは昼間に活動。奄美に古来から存在する生物を襲い、個体の減少などにつながっていきました。 その後もマングースは増え続け、2000年ごろにはピークを迎えます。その数は、自然増加分も含めて推定1万匹に達します。 そんな状況を打破すべく、環境省は2000年以降、防除事業に着手。また、5年後に誕生したのが『奄美マングースバスターズ』です。これまでのハコ罠の設置など“人海戦術”に加え、2007年からは犬によるにおいの捜索を導入しました。 これら駆除活動により、2018年にはマングースの数は推定10匹まで減りました。 環境省自然環境局 植田明浩局長 「だんだん捕れなくなってくると、それを追い詰めるのは最後、探知犬の力だった」