“赤ちゃんポスト”開設から2年 北海道からの中止要請受けながらも運営続ける理由…行政に相談できない“匿名を望む女性たちの存在”
北海道放送(株)
親が育てられない子どもを匿名で受け入れる赤ちゃんポスト。北海道当別町で個人の女性が開設して、今月で2年を迎えました。 一方、北海道は施設に対して母子の受け入れの中止を要請しています。母親と小さな命を守るために必要な支援とは。
北海道当別町で孤立する妊婦や母親の支援をしている、公認心理師の坂本志麻さん(49)です。 自宅の玄関のすぐ横にあるのが、ベビーボックスいわゆる「赤ちゃんポスト」です。 相談は2000件を超え、全国から寄せられています。
当別町で赤ちゃんポストを運営 坂本志麻さん(49) 「孤立や周りを信用できない思いを持っている親にとっては、救いの場になると思う。お金もなくて保険証もなくて1人で悩んでいる妊婦さんがいる中で、“どうぞ”と言ってくれる場が必要ですよね、それは強く思います」
坂本さんが母子支援の活動を始めたのは、今から15年前。 26歳の時、青年海外協力隊に参加。貧困であえぐ東南アジアのラオスで、獣医師として動物や子どもたちの支援にあたった経験から、帰国後、九州で孤立する母子や虐待を受けた子どもたちの保護にあたってきました。 当別町で赤ちゃんポストを開設して2年。活動をめぐって、行政とは対立が続いてきました。 開設時から道は施設に対して、医療体制が取れていないとして、赤ちゃんポストの運用の自粛要請を22回に渡って出してきました。
1月、坂本さんは独りで出産した未婚の母親2人から、匿名で新生児2人を預かりました。しかし、母親が医療機関を受診できておらず、児童相談所の判断で新生児は医療機関へ搬送することになりました。 受け入れ先の医療機関を探すのにも、問題が起きているといいます。 当別消防署 救急課 小出謙二主幹 「当別町の立地から搬送医療機関が札幌市が主になりますが、(新生児の搬送に)必要な情報共有が滞ってしまう場合があって時間がかかった。救急業務とは違うところで問題が発生しているように感じている」 一方、坂本さんに医療機関と連携する考えがないのか聞くと…。 当別町で赤ちゃんポストを運営 坂本志麻さん(49) 「特定の医療機関だけに、負担をかけるのはよろしくないと思っています。みんながわが事として手を差し伸べる形が本来の姿じゃないかなと思う」 北海道 保健福祉部子ども政策局 東幸彦局長(記者会見 2月) 「新生児ということがあり、医療機関に速やかに受診してもらうことが必要だった」
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