1つの仕事に30分以上かけてはいけない理由(滝川徹 時短コンサルタント)
■30分が最適と言える科学的な根拠
起業家フランチェスコ・シリロ氏によって提唱され、国連、ノキア、ソニー・モバイル、トヨタ、レゴ、イタリア中央銀行など世界中で評価・実用されているポモドーロ・テクニック。この手法は「25分間の作業=ポモドーロと5分間の休憩を1セット」として繰り返していくものだ。 フランチェスコは著書『どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門』(CCCメディアハウス)で、ポモドーロ(1回の作業時間)につき10分などでは目に見える成果は生まれないとしている。 さまざまな試行の結果、一定の成果を出すためには30分がベストと結論づけた。試行の段階で1時間、2時間、45分などさまざまな時間を試し、最終的に一定の成果を出すためには30分がベストとの結論に至ったのだ。 ポモドーロ・テクニック以外にも、30分が作業単位として最適なことを支持する研究がある。 1950年に「クロックテスト」という実験がマックワースという人物により行われた。実験の内容をものすごく簡単に言えば「一定のペースで進む時計の針を被験者が見て、針が2倍のスピードで進んだと認識したときに反応鍵を押す」というものだ。 実験は30分を1セット、2時間に渡り4回行われた。この実験では作業を開始してから30分が経過すると、被験者の見落としが増加したことが確認されたのだ(これは後に「30分効果」と言われるようになる)。 産業安全運動向上への寄与により「労働大臣功労賞」を受賞した正田亘氏の著書『人間工学』(恒星社厚生閣)によると、クロックテスト以降も類似の実験や研究が行われた。 そのいずれにも30分を境に反応の低下が認められたという。同書には『30分ということが、何らかの精神過程持続の変化点として問題としなければならないことになるのかもしれない』と書かれている。 つまり個人差はあるものの人が「ダレ」や「飽き」を起こさずに集中力を維持できるのは一般的に30分が限界なのだ。 そこで一つの仕事を30分単位に切り分ける、つまり作業時間に制限を加え、あえて数日間に分割して取り組む。そのほうが効率良く仕事は終わるのだ。