デビュー10周年のWEST.この2カ月で4人がミュージカルに 個々に才能を磨いてきて、10年の積み重ねが見られました。今後もさらに楽しみ
◇コラム「芸能リポーター・山﨑寛代のぶっちゃけトーク」 デビュー10周年のWEST.が、グループとしてだけでなく個々が目覚ましい活躍をしています。前回のコラムで、小瀧望くん(28)がミュージカル俳優として見事だったという話をさせてもらいましたが、そのバトンを引き継ぐかのように同じ東急シアターオーブで、濱田崇裕くん(35)と神山智洋くん(31)がW主演するミュージカル「プロデューサーズ」を上演中です。 1968年の同名映画をもとにブロードウェーで大ヒットしたミュージカルで、日本でも3度上演されていますが、濱田くん、神山くんが主演する今回は新演出。事務所の先輩である井ノ原快彦くんと長野博くんが出演した時も観劇していますが、それとは別物のような印象でした。何度も声を出して笑ってしまう楽しいミュージカル。そして、新鮮な発見もありました。 濱田くんは初ミュージカル。バラエティー番組で歌のうまさを披露していますが、舞台でも安定感のある歌、声量もあって心地よい。舞台後半での留置場の場面では、これまでのストーリーをダイジェスト版のように伝え歌うという難しくも見どころのあるシーンを、くるくると表情を変え、歌と演技で魅せてました。笑いのセンスが必要で歌も歌えなきゃいけない、これは反射神経がないとできない。濱田くんの圧巻の芸達者ぶりでした。 神山くんは9年ぶりのミュージカル。透明感のある澄んだ歌声。気弱でかわいらしいキャラクターを、振り切ったコメディーでやっているのも魅力の1つになっていました。濱田くんと息ピッタリで、「他のメンバーだったら成立しないシーンもある」と言うように、同じ動作をするところはほほ笑ましい。WEST.の中にまたしてもこんなに力をつけている2人がいるんだと改めて気付かされました。 作品全体で言うと、タレントの王林さんも初ミュージカルとは思えないほど歌がうまく、伸びやかな声で歌い上げていて、声量もたっぷり。それから、おそらくカンパニー全体を笑いで引っ張ってきたと思われる俳優の新納慎也さん。島田歌穂さんがこの役!?と驚いてしまう豪華な共演陣。笑いに包まれた多幸感のある作品で、もうすでに再演を希望します。 そしてまた1人、WEST.の桐山照史くん(35)が主演するミュージカル「グラウンドホッグ・デー」が東京国際フォーラムで上演中です。数々のコメディー作品を手がける劇作家・福田雄一さんの演出です。実は俳優の戸塚純貴さん、川久保拓司さん、咲妃みゆさんの3人の出演が先に決まっていて、主役が決まっていなかった時に、「桐山くんはどう?」と、福田さんから提案があったそうです。桐山くんはいつか福田さんとお仕事したいとずっと思っていたそうですが、「接点がないからずっとうそだと思っていて、先輩が降りた役が僕に回ってきたのかなと」と囲み取材で話していました。 ところが、福田さんは10年前から桐山くんのファンであったと告白。福田さんの作品の常連俳優の総称「福田組」は、キャラクターがみんな濃いというか、笑いが取れる人たちばかり。その中で、桐山くんらしさも出せていましたし、福田さんはすごく絶賛していました。笑いもそうですが、演技も歌もうまい。桐山くんは低音から高音まで響かせる声量があって、音域も広いのですが、ミュージカルの歌唱に変えていたところが見事でした。 小瀧くんの話に戻りますが、先月の舞台で小瀧くんはタップダンスに初挑戦。それを知った福田監督は桐山くんに「タップ踏める?」と。「踏めないです」「そっかぁ、踏もっか~」と、むちゃぶり。1カ月の猛特訓で習得した桐山くんのタップは、明るさがはじけていて、さすがです。やっぱり、期待を裏切らない男!なんですよね。個性豊かな福田組の俳優がたくさんいる中で、違和感なしに溶け込んで、アドリブの対応力もある。そして何より丁寧な演技が光っていました。 ライブを主戦場にしているというWEST.が、この2カ月で4人のメンバーがミュージカルの舞台に立てていることはすごいですよね。普段ふざけている顔を見せていても、大舞台では魅せてくれる。個々に才能を磨いてきた姿があり、それぞれの10年の積み重ねが見られました。今後もさらに活躍するWEST.が楽しみです。 ▼山﨑寛代(やまざき・ひろよ) FM群馬での勤務を経て、TBS系「3時に会いましょう」「スーパーワイド」、テレビ朝日系「スーパーモーニング」などワイドショー・情報番組でリポーターを務める。朝日放送系「おはようコールABC」出演を機に芸能リポーターとして、現在はテレビ朝日系「羽鳥慎一のモーニングショー」、福岡放送「めんたいワイド」に出演中。旧ジャニーズ事務所や歌舞伎などを中心に取材している。
中日スポーツ