東京・三陽機械製作所、老舗のスズゼン精工(米沢)を子会社化 老舗の技術と量産機能融合
東京・大田区の町工場が中心となって国産そりを開発する「下町ボブスレー」プロジェクトのリーダーを務める金属部品加工の三陽機械製作所(東京、黒坂浩太郎社長)が、米沢で江戸時代から続く老舗の同業者・スズゼン精工の全株式を取得し、子会社化した。従業員2人と社名、建物設備を引き継ぐ。黒坂社長は「自社にない強みがある会社。米沢でも、ものづくりのネットワークを広げていきたい」とする。 三陽機械製作所は1953(昭和28)年設立で、コンプレッサーの部品などを手がける。事業拡大を見据え、2018年に米沢市に工場を設けた。黒坂社長は、大田区の町工場約50社が参加する下町ボブスレープロジェクトの委員長を務め、26年のミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪でイタリア代表のそりとして採用を目指す。米沢工場の社員も設計などに関わっている。 スズゼン精工は江戸中期に始めた鋳造業をルーツとする。1916(大正5)年に鈴善鉄工所として創業し、米沢織の織機や部品を手がけた。90年に法人化。取引先は県内メーカーが中心で、生産装置部品などを製造する。後継者不在で事業承継先を探していることを知った黒坂社長が、同社の歴史と、少量多品種の生産を得意とする点を評価。全株式を取得し、子会社化することにした。
取得は9月1日付で価格は非公表。黒坂氏が社長に就いた。量産機能と、単品設計・製造の技術力という両社の強みを融合し、新たな顧客の開拓に取り組むほか、スズゼンの技術を三陽機械製作所の若手社員に継承する。 黒坂社長は「ものづくり企業が一緒に新たな製品づくりに取り組む姿を見せることで、ものづくりをしたいという若い人が増えるのではないか。米沢でもこうしたネットワークを広げたい」としている。