ボクシング女子に性別検査不合格の2名が参戦 対戦経験の選手は“公平性”を疑問視「あんな力は感じたことがない」【パリ五輪】
パリ五輪のボクシング女子に出場する選手の挑戦が注目を浴びている。 現地時間8月1日に行われる66キロ級2回戦に登場するイマネ・ケリフ(アルジェリア)と、同2日の57キロ級2回戦に参戦するリン・ユーチン(台湾)だ。両者は共に昨年の世界選手権で性別適格性検査を不合格となり、出場権を剥奪された過去がある。 【動画】顔面がボコボコに…ケリフがメキシコ人選手にRSC勝ちしたシーン ケリフとリン・ユーチンの女子競技参戦に医学的な問題はない、と国際オリンピック委員会(IOC)は判断した。現地時間7月30日に出した声明で「2024年パリ五輪ボクシング大会に出場するすべての選手は出場資格および参加規定、適用可能なすべての『医療規定』を順守している」と述べていることからも明らかだ。 だが、両者の「女性選手」としての参戦に依然として疑問符は付く。というのも、国際ボクシング協会(IBA)が主催する昨年の世界選手権で実施されたDNA検査で性別適格性検査を不合格となっていたのだ。その際にIBAのウマル・クレムリョフ会長は「XY染色体を持っていることが証明されたために2人は除外された」と明言。同団体も「包括的な検討の結果、この決定を下し、競技の公平性と完全性を維持することを意図していた」と説明する事態となっていた。 実際、彼女たちと対戦した選手からも「公平性に問題があるのではないか」とする意見が投げかけられている。22年12月にケリフと対戦したメキシコ代表のブリアンダ・タマラは、英紙『The Telegraph』に「ボクサーとしての13年間のキャリアであんな力を感じたことはなかった」と率直な感想を語っている。 「私は彼女と戦った時、自分の力ではどうにもならないものを感じた。彼女の打撃はとても痛かった。あの日にリングから無事に出られたことは神に感謝している。だから、あの時にIBAが問題に気付いてくれたのは良かった」 もっとも、あくまでケリフとリン・ユーチンの参加を問題ないとするIOCは「寛容性」を強調。選手たちに徹底したテストを課しているIBAとは処分対象が異なる印象は否めない。 打撃を打ち合うボクシングは力の差が露骨に影響する競技である。ゆえに性別を巡る議論は尽きないが、果たしてケリフとリン・ユーチンはどのようなパフォーマンスを見せるだろうか。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]