「最低賃金1500円」果たして実現可能?中小企業経営者の本音は…
106万円の壁。扶養がはずれ、社会保険の加入が必要になるこの年収に達すると、手取りが減ってしまうため、賃金アップを単純に喜ぶことができないと語ります。 社長 「(賃金を)上げよう上げようと言うけど、パートさんに『やめてください』と言われるから…」
賃上げ方針の企業は増加 一方で…
中小企業が多い熊本の経営者たちは賃上げについてどう考えているのか。今年6月、熊本県商工会連合会が490の会員事業所にアンケートした結果、今年中に賃上げを行った、または、行う予定の事業者は63%で、前年の同時期と比べ、15ポイント増えました。 最低賃金950円以上への引き上げを肯定する意見としては「物価高なので賃金の底上げで経済をまわせれば」「雇用維持や離職予防のためにはこの水準が必要ではないか」などがあがりました。 一方で、賃上げを行わない理由として多かったのは「賃上げの原資となる利益が確保できていないから」「業績の先行き見通しが立たないため」が最も多く、最低賃金の引き上げに賛成できない理由として「時給が上がると自社の経営が厳しくなる」「価格転嫁ができておらず資金繰りが厳しい」などの意見があがりました。
「ちゃんぽん1500円で提供できるか…」
熊本県湯前町の老舗レストラン「徳丸」。人気のちゃんぽんは、小サイズで2年前と比べて150円ほど値上げしました。 社長 「ひとつは原材料の高騰、値上がりによって原価計算をして、それで価格が決まる流れになる。ただ、原材料よりも人件費の高騰が非常に影響力が高いです。ちゃんぽんの価格が、最低賃金ぐらいの感じで600円のときは600円、700円になったら700円だったけど、この最低賃金の上昇にちゃんぽんが値段そこまで上げられるのか。5年後に1500円、ちゃんぽんを1500円で提供できるかどうかは心配ですね」 現在は、価格と給料を上げながら経営を維持していますが、今後については不安を抱えています。 社長 「1500円というのはありえない飲食店でいうと。もしそうなったらもうスタッフ減らしてメニューを限定していくとコストを下げていく」 急激な賃金の上昇は、築き上げてきた食文化をも圧迫しかねない状況です。バランスのとれた政治の舵取りが期待されています。