ずとまよMV手がけるアニメーター・はなぶし個展レポート 観るものを興奮させる“線”とキャラづくりの上手さを体感
制作工程を細かに赤裸々に公開 アニメの現場感ある展示
近年のはなぶしさんといえば、“ずとまよ”ことずっと真夜中でいいのに。の楽曲のMVで知られている。 個展「ブレインマシーン04」では3本のMVの制作工程を詳細に公開。例えば「お勉強しといてよ」MVの公開が2020年5月14日、同年6月1日には次作である「暗く黒く」の制作を了承し、6月8日に初打ち合わせ、6月10日にはずとまよに「#indie_anime」のタグを教える──と、細かな出来事を日付レベルで明かしている。 会場のライトボックススタジオ青山は2階建てのギャラリー。上下2フロアで展開される内装は、何かを剥がした跡がむき出しの壁や金網、無造作に置かれた(ように見える)ベンチなど、まるで工事現場。 前述した資料を含め、これまでの仕事内容を赤裸々に綴られた空間は、アニメーターが作品を生み出すという意味ではまさに制作現場。 熱量が湧き出てきそうな現場感のある展示の随所に、ピンクやイエローといったネオンカラーが取り入れられ、はなぶしさんらしさを感じさせる。
“キャラクターデザイナーはなぶし”としての才能を実感
はなぶしさんが自他共に認める武器であるキャラクターデザイン。以前のインタビューでも「キャラクターデザインだけは天賦の才がある」と話していたが、個展では改めて才能を実感する。 オリジナルキャラクターである「ピギーワン」はもちろんのこと、ずとまよのMVに出てくるキャラクターなど、そのどれもが魅力的。造形、表情、仕草、動き……後半は静止画にもかかわらず、感じられるのってすごくない? 着色されていないレイアウト原画であっても、着色されたイラストであっても、キャラクターの動きや口にしているであろう言葉までイメージできるはずだ。 個展「ブレインマシーン04」は、インディーアニメのムーヴメントからここまで、トークイベントや即売会を開催するなどシーンを牽引してきたはなぶしさんの、シーズン1における到達点を確認できる。 studio ALBLEを立ち上げて以降、はなぶしさんのシーズン2はどんな光景が広がっているのか。今から楽しみになってきた。
恩田雄多