ウクライナ、兵力でロシアに圧倒的劣勢 「選べる配属」で積極的動員
ウクライナではロシアとの戦闘により深刻な兵員不足に陥っている。2022年2月の侵攻開始当初は愛国心から志願者が殺到したものの、現在は徴兵忌避や海外脱出が増加。募集センターの新設、民間のリクルーターによる募集活動に加え、愛国心に訴える宣伝動画を制作した旅団もある。新兵は、自分のスキルに合った部隊や役割、兵役期間を選ぶことが可能だ。 ウクライナでは塹壕から遠く離れた場所で、「情報」で武装した軍のリクルーターが、愛国的な志願者に戦争に参加する機会を提供している。ロシアと戦うため、十分な兵員を集めようとする政府に対し、国民からは懐疑的な見方もある。その中、国防当局は動員のため、軍の魅力を訴える作戦に乗り出した。 国防省の顧問、オレクシー・ベジェベッツ氏 「国家は火の中で形成される。この動員は、国家が自らを形成するための要素だ」 この「ソフト」な動員は就職サイトやあっせん施設、看板やSNSなどで実施。新機軸は、「選べる配属」だ。新兵は、自分のスキルに合った部隊や役割、兵役期間を選ぶことができる。この新兵は救急救命士を希望しているという。第93独立機械化旅団は、志願者を引き付けるキャンペーンを展開。募集をネットでも行っている。 私たちがこの世で得たのは 最初の一歩、初めての友人 愛にも家族にも土台がある、伝統を受け継ぐ土地だ 行動だけがそれを物語る。誰もが必要とされている 恐怖や偏見があろうと、私たちは死ぬために戦争に行くのではない ロシアによる侵攻が3年目となり政府は、圧倒的劣勢にある自国軍の戦力補充に躍起だ。2022年2月の侵攻当初は志願者が殺到したが、現在は兵員不足が目立つ。数千人が徴兵を忌避し、危険な塹壕への派兵を避けて海外へ脱出する人もいる。徴兵の推進が困難を招いていることを政府は理解している。 ベジェベッツ氏によれば、2月以降、動員センターが13カ所開設。今年半ばまでに30カ所に増やす予定だという。総司令官は3月、国内のリソースを見直した結果、必要な兵員数の見積もりを最大50万人から大幅に減らした。