パリ五輪世代の「心臓」藤田譲瑠チマ ユース時代の監督が語る幼少期から変わらない姿勢とは…
男子のパリ五輪アジア最終予選を兼ねたU―23(23歳以下)アジア杯が15日からカタールで開幕する。スポーツ報知では、8大会連続五輪出場を目指す「大岩ジャパン」の各ポジションのキーマンを4回にわたり紹介。第3回は藤田譲瑠チマ=シントトロイデン=。 * * * * 大岩ジャパンの“心臓”として大黒柱の役割を担っているのがMF藤田譲瑠チマ(22)だ。3月25日のウクライナ戦(2〇0)では主将マークを着けるなど、大岩剛監督(51)の初陣(ドバイ杯・22年3月)からほぼ全ての活動に参加。8大会連続五輪出場に向けて「憧れの舞台なのでいい準備をしていきたい」と力を込める。 存在感は圧倒的だ。逆三角形で形成する中盤の底を主戦場に、ボール奪取や縦パスから機を見た攻撃参加など攻守で奮闘する。「そこは自分の仕事だと感じている。意識して切らさないように」と時にスタンドまで届く甲高い声で、仲間への鼓舞や指示を出し続ける。 その姿は幼少期から変わらない。小学5年で参加した東京Vジュニアユースの練習会では、即席チーム同士で行われた8対8の試合で藤田のいるチームが大差で圧勝した。当時の様子を、東京Vの小笠原資暁(もとたか)ジュニアユース監督(40)は「譲瑠が全部声で動かして、急造チームなのにボールは動くし、プレッシングもかかるし、コーチが1人入ってやっているみたいでした」と、今でも鮮明に覚えている。 東京Vの下部組織では、試合の出番関係なくひたむきに練習を続けてきた。そんな姿を見てきたからこそ、小笠原コーチは藤田のことを「太陽みたいな存在。自然と譲瑠の周りは明るくなる」と表現する。パリ五輪切符を懸けた厳しい戦いでも、日本の太陽として明るく照らしていく。(後藤 亮太) 〇…MFは、藤田と東京Vの下部組織時代から一緒にプレーする山本理仁(シントトロイデン)も大岩ジャパンの常連組で中心として期待される。クラブで主将を務める川崎颯太(京都)、松木玖生(FC東京)、副主将の田中聡(湘南)ら、中盤の中央には高いリーダーシップを誇る選手が多いのも特徴。サイドは町田を引っ張るドリブラーの平河悠や、精度の高い左足でセットプレーの重要な役割を担う山田楓喜(東京V)、ドイツ1部ブレーメンでプレーする佐藤恵允(けいん)ら個性派ぞろいだ。 ◆藤田 譲瑠チマ(ふじた・じょえるちま)2002年2月16日、東京・町田市生まれ。22歳。父はナイジェリア人で、母は日本人。町田大蔵FCから東京Vジュニアユース、東京Vユースを経て20年にトップチーム昇格。21年徳島、22年から横浜Mでプレーし、23年7月にベルギー1部シントトロイデンに完全移籍。22年E―1選手権で日本代表デビューし、国際Aマッチ2試合に出場。右利き。175センチ、76キロ。
報知新聞社