「ドイツに2万頭の象をプレゼントする!」と息巻くボツワナ共和国大統領…いったい何がどうなっているのか?
ボツワナ政府の方針転換
おりしも2019年、南アフリカはひどい旱魃に襲われた。象は普通なら1日に、150~175kgの草を食べ、70~75lの水を飲むという。 当時、ナショナルパークの柵は万全ではなく、お腹を空かせた象の大群は集落を襲い、畑を荒らした。象は決しておとなしい動物ではない。そうでなくても食糧不足に苦しんでいた住民は、凶暴になった象のせいで、さらに重篤な困難に陥った。 すると、また欧米のNGOが乗り込んできた。象がお腹を空かせていることを知った彼らは、飢えている人間を無視したまま、隣のジンバブエのナショナルパークに、象のための干草と水を何トンも運び込んだという。 いずれにせよ、この飢饉の後、ボツワナ政府は方針を転換し、1シーズン300頭と決めて狩猟ライセンスの販売を始めた。象の数を減らせて、しかも収入にもなる一石二鳥の象狩りツアーである。 図らずもここで私が思い出したのは、スペイン国王、ファン・カルロス1世の象狩りスキャンダルだ。 2012年、スペインは経済危機の真っ只中で、若年失業率が52%を超え、国民は著しく疲弊していた。そこで国民に向かって、「皆で節約して頑張ろう」と訓示を垂れた国王であったが、同年4月、自分はアフリカに飛んで象狩りをしていた……。 そこで、探してみたら、ありました! 仕留めた巨象の前でライフルを手にポーズを取る国王の写真付きの記事が。 ●Ein Hüftbruch und seine Folgen: Elefantenjagd setzt Spaniens Altkönig Juan Carlos nach zehn Jahren noch zu(12·04·22 mallorcazeitung.es) 場所は案の定、ボツワナ。ライセンス料は2万5000ユーロで、象を一頭仕留めるごとにさらに2万ユーロというから、これだけですでに庶民の年収を超えた。しかも、この国王は自然保護団体WWFの名誉総裁だったというから、二重の意味で評判は失墜した。 ちなみにこれが国民にバレたのは、国王が夜中にトイレに行く途中で転んで、地元の病院に運ばれたからだそうだ。やはり悪いことはできない。