そのベランダ、日常的に掃除できる? マイホーム新築時「あって常識」と語られるベランダが不要な理由
---------- 人生でいちばん高価な買い物、マイホームをせっかく建てたのに、「こんなはずじゃなかった」と後悔する人があまりに多いのはなぜなのか? 気鋭の建築家・内山里江氏は言います。 「日本人が家づくりに失敗する最大の理由は、たとえば『家は南向きじゃなきゃダメ』とか『窓は大きいほうがいい』といった『間違った常識』によるものです。私は本書でそうした間違った常識をすべてひっくり返します」 内山氏の最新刊『家は南向きじゃなくていい』から、間違いだらけの家づくりをしないための方法を連載形式でお届けします。 ---------- 「布団干し」のためにベランダを作らなくていい2つの理由
バルコニーの話 家の寿命を縮める危険も
バルコニーやベランダは何のためにあるのか。そう問われたら、みなさんは何と答えるでしょうか。 おそらく、「布団を干すため」「洗濯物を干すため」と答える人が大半ではないでしょうか。実際、ひと昔前の家のバルコニーやベランダでは、晴れた日には布団や洗濯物がところ狭しと並んでいたものです。 このように干した布団や洗濯物からは糸くずや埃が落ちます。人の出入りがあるため、服に付いていた埃や髪の毛なども落ちます。バルコニーやベランダの床に落ちたこれらのゴミは雨風で少しずつ移動し、排水溝にどんどん溜まっていきます。しかし、こまめにバルコニーやベランダの床や排水溝を掃除できる人はなかなかいません。室内の掃除だけでも大変なのに、そこまで気を回すことはなかなか難しいですよね。ところが、そのように排水溝にゴミを溜め込んだまま放置しておくと、詰まって雨水やエアコンの室外機の排水などがきちんと流れなくなります。そうなると建物の壁の隙間に水が入り込み、躯体、つまり家本体がどんどん傷んでいきます。家の寿命が縮まるのです。 つまり、バルコニーやベランダは日常的に掃除という手入れが必要な場所であり、しかも、10年に1回は必ず業者によるメンテナンスを必要とします。そういった各種のコストをかけてまでバルコニーやベランダをつくりたいでしょうか? 私は、「布団や洗濯物を干すためだけであれば、絶対につくらないほうがいいです」といつも伝えています。では、布団や洗濯物はどうすればいいのか。簡単です。室内に干せばいいのです。