要人警護に県警ピリピリ…自民党本部への火炎瓶投げ込み受け一層の厳戒態勢、首相遊説で柵設置や手荷物検査
自民党本部に火炎瓶のようなものが投げ込まれ、テロとも言える行為に緊張が高まった19日、石破茂首相は衆院選候補者の応援のため鹿児島入りし、県内3カ所で街頭演説した。警察庁は警護の徹底を全警察に改めて指示。県警などは一層の厳戒態勢を敷いた。 【写真】〈関連〉石破茂首相の演説に備え警戒する警視庁警備犬=19日、鹿児島市のJR鹿児島中央駅東口駅前広場
石破首相は、最初に訪れた薩摩川内市の演説会場で事件に言及し、「国民・市民の安全、安心がしっかり守られるよう、万全を尽くす」と訴えた。事件の影響で警備がより厳しくなったとして、「本当は皆さんの近くで話をし、一人一人の手を握って(候補者への支援を)お願いしたいが、難しい」と話した。 鹿児島市のJR鹿児島中央駅東口駅前広場では、街宣車から約20メートル離れた位置に聴衆エリアを設置。入り口では警備担当者が手荷物を確認し金属探知機で全身を調べ、開封済みの飲料は実際に飲ませるなどした。 アミュプラザ鹿児島とLi-Ka(ライカ)の連絡通路や近くのホテルにも関係者を配置し、高所からも警戒に当たった。広場脇の通路では「立ち止まらないでください」と絶えず呼びかけ、警視庁の警備犬も会場周辺を警戒した。 県警警備課によると、警察庁から(1)金属探知機検査と手荷物検査の確実な実施(2)飲み物の中身の確認(3)車両突入防止-などを徹底するよう指示があった。
2022年に安倍晋三元首相が銃撃され、23年は岸田文雄前首相の演説会場に爆発物が投げられるなど、要人を狙った事件が相次いでいる。27日投開票の衆院選に向けて選挙活動が本格化する中、県警は警護に神経をとがらせていた。 警備課は街頭演説について「要人と不特定多数の聴衆との距離が近くなる」との認識を示した上で「治安や現場状況を判断し必要な態勢で臨む」としている。 警護計画は警察庁に確認し、共有している。安倍元首相の事件を受け、同庁が都道府県の警護計画を事前審査するなど関与を強めていることが背景にある。 同課の本村明敏理事官は「事故なく安全を確保できた。今後も治安情勢や行き先の状況、要人を巡る情勢を勘案し、万全を期す」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島
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