おじさんがおじさんを気遣うのがイイ! 正反対な中年男が一つ屋根の下で暮らすことになる上質のコメディー映画「おかしな二人」
【志らべのユー、次なに見る】 私の世代で、エンターテインメントに興味を持つ人の中で三谷幸喜さんに影響を受けなかった人はいないのではないでしょうか。私が最初に触れたのは「子供、ほしいね」というフジテレビの深夜番組でした。三谷さんが主宰していた劇団、東京サンシャインボーイズの解散公演の当日券を買いに行ったところ、あまりの行列に諦めたこともありましたなあ(わりと諦めの早い男でな)。 そんな三谷幸喜さんが影響を受けた人物といえば、やはりニール・サイモンでしょう。きっと劇団名もニール・サイモンの戯曲「サンシャイン・ボーイズ」から拝借したのでしょう。 で、おそらく最も有名な作品は1968年の映画「おかしな二人」ですな。U―NEXTで配信されていますのでご紹介しましょう。 テレビのニュース記者・フェリックスは愛妻と離婚の危機に陥り自殺すら考えるような状態に。そんなフェリックスを救ったのは、オスカーなど4人のポーカー仲間。オスカーは自分も離婚の経験者だけに彼を心から慰め、アパートに同居させることにしたのですが…。 何がいいって、今で言うイケメンも若くてキレイな女性も出ていないのです。主役のジャック・レモンはこの時43歳くらい。今の私よりは若いのですが、見るからにおじさんです。そのおじさんをおじさんたちが妙な気遣いをする様子が実にいいのです。そういえば、三谷幸喜さんの舞台にはこういうシーンがありますよ。 ジャック・レモンは1959年に「お熱いのがお好き」、1960年に「アパートの鍵貸します」に出演して大きな評価を得ています。個人的にビリー・ワイルダー監督のこの2作は本当に大好き! 私の師匠志らくや大師匠の談志も大好きなので、私もその影響下で好きなんでしょう。そんな素晴らしい喜劇で名声を得て、約10年経って今度はニール・サイモンの作品にも出演しているわけですから、いかにジャック・レモンが信頼された喜劇役者かということがわかるでしょう 正反対な2人の中年男が一つ屋根の下で暮らすことになる上質のコメディー、これは見るしかないでしょ! (立川志らべ)
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